米University of WashingtonのS.K. Holt氏

 糖尿病に関連するインポテンツは、初発時の対応次第では回復が可能であることが示された。DCCT/EDICの登録者を対象に検討した研究成果で、米University of WashingtonのS.K. Holt氏らが9月23〜27日にバルセロナで開催された欧州糖尿病学会(EASD2013)で発表した。

 糖尿病は神経障害、血糖管理、細小血管合併症及び糖尿病罹患期間に関連して、通常より3倍高いインポテンツ(勃起障害:ED)リスクがあるとされる。今回の試験の目標は糖尿病あるいは勃起障害の疾患経過をとらえ、性的能力回復と回復不能なEDに関係する因子を見いだすことだった。

 対象は、1983年から1989年まで行われた糖尿病管理と合併症試験(DCCT)の参加者で761人の1型糖尿病男性患者だった。血糖コントロール強化療法あるいは従来の血糖コントロール治療に無作為に割り付けた試験で、そのうちの720人が、糖尿病介入と合併症の疫学(EDIC)試験の対象となった。EDICでは、EDの定義を、「インポテンツ」があるかどうかの質問に、患者が「はい/いいえ」で答えたうち、「はい」の回答と定めた。

 ED報告後の5年間の時点で、「いいえ」(インポテンツなし)と答えた場合、その被験者は性的能力を回復したと分類した。EDの薬物療法は少数の男性から報告があったが、今回の分析では考慮しなかった。HbA1cをベースライン時、DCCTの間は年4回、EDICの間は1年ごとに測定した。年齢で補正後、先に報告されたEDからの継続年数を用いて、多変量ロジスティック回帰分析により、性的能力回復のオッズを推定した。

 解析の結果、最新の評価時の被験者の平均年齢は50.4歳であった。ED発症はEDICの1年時(1994年)の5.5%(n=42)から、EDICの16年時(2009年)の33.6%(n=219)に上昇した。

 16年のフォローアップ期間中に明らかになったのは、少なくとも1回はEDであると申告した男性(53.5%)の症例解析から、EDは「すべての症例において固定された状態ではなかった」ということだった。

 EDIC期間内で最低でも5年継続したフォローアップ期間中にEDと申告した被験者では、5年以内の性的能力回復は、最初のED申告時点がフォローアップ開始から1年増えるごとに減少した。つまり、インポテンツの初発時の年齢と性的能力回復には関連性があることが示唆された。

 また、EDと1度だけ申告した被験者(n=198)では、67.7%が5年以内に回復していた。しかし、2年続けてEDと申告した被験者(n=138)では50.7%が回復したものの、3年連続の申告者(n=96)では回復者は37.5%でしかなかった。4年連続EDと申告した人(n=70)では回復は32.9%だった。一方、5年以上連続して申告した被験者(n=44)でインポテンツから回復した症例は20%以下だった。EDと申告したのが4連続年以下の被験者に限ってみると、HbA1cと年齢が性的能力回復と有意に関係していた。

 これらの結果から演者らは、「EDは1型糖尿病の男性患者において可逆的な状態であり、最初に経験した時に修正可能である」と結論した。その上で、「長期にEDが進行した場合は、性的能力回復率は低下する傾向にあり、HbA1c値と性的能力とに関連性がなくなった時、回復不可能に達してしまうようだ。インポテンツ(不能)のままでいる危険性を予測するバイオマーカー、症状を軽減する行動療法、および適切な臨床管理を探索するために、さらにこの集団での研究が必要である」とまとめた。