Steno Diabetes CenterのLuise Lundby-Christensen氏

 インスリン療法メトホルミンを併用した場合、HbA1cや体重、インスリン投与量などには有意な併用効果が得られたが、頸動脈内膜中膜肥厚度(IMT)で評価した動脈硬化の進展抑制効果は認められなかった。CIMT(The Copenhagen Insulin and Metformin Therapy)試験の結果で、9月23日から27日までバルセロナで開催されている欧州糖尿病学会(EASD2013)で、デンマーク・Steno Diabetes CenterのLuise Lundby-Christensen氏が発表した。

 欧州糖尿病学会(EASD)と米国糖尿病学会(ADA)による糖尿病治療ガイドラインでは、メトホルミンを2型糖尿病の早期治療薬と位置づけており、それでコントロールが不十分な場合は、SU薬やインスリンなどを追加することになっている。だがメトホルミンとインスリンの併用療法がインスリン単独療法に比べて臨床的に優れているかは、必ずしも明確にはなっていない。

 本試験では、頸動脈の平均IMTを指標に、インスリン単独療法とインスリンとメトホルミンの併用療法を比較した。対象は、30歳以上、BMI 25kg/m2以上、経口薬による1年以上の治療歴または/およびインスリンによる3カ月以上の治療歴を有する、HbA1c 7.5%以上などの条件を満たす2型糖尿病患者とした。

 被験者をメトホルミン併用群(2000mg/日、206例)とインスリン単独群(メトホルミンの代わりにプラセボを投与、206例)にランダムに割り付けた。ベースとなるインスリン療法は、インスリン デテミル(以下、デテミル)、中間型インスリンとインスリン アスパルト(以下、アスパルト)の混合製剤、アスパルトとデテミルの併用のいずれかとした。

 試験期間は18カ月で、主要評価項目はベースラインからの平均IMTの変化、副次評価項目は試験期間中の重度の低血糖および重度の有害事象の発生とした。

 両群のベースラインにおける年齢、性、糖尿病罹病期間、HbA1c、体重、インスリン使用率、喫煙、血圧、LDLコレステロール、平均IMTに差はなかった。

 18カ月後、主要評価項目である平均IMTの変化は、メトホルミン併用群では有意ではなかったが(P=0.879)、インスリン単独群では減少を認めた(P=0.011)。しかし、インスリン単独療法群とメトホルミン併用群の比較では、有意な差はなかった(P=0.109)。

 ベースラインに比べた18カ月後のHbA1cの変化は、メトホルミン併用群が0.8%の低下だったのに対してインスリン単独群では0.3%の低下にとどまり、メトホルミン併用群の方が有意に大幅な低下を示した(P=0.007)。

 インスリンの投与量は追跡期間中に両群ともに増加したが、15カ月後の投与量はインスリン単独群の130 IU/日に対し、メトホルミン併用群では100 IU/日と、後者が有意に少なかった(P<0.002)。

 体重は両群ともに増加したが、18カ月後はインスリン単独群の4.5kg増に対してメトホルミン併用群では1.5kg増にとどまり、増加量の差が有意だった(P<0.002)。

 重度の低血糖の発生頻度はメトホルミン併用群3.9%(8例)、インスリン単独群3.4%(7例)、重度の有害事象はメトホルミン併用群26%(54例)、インスリン単独群22%(45例)で、いずれも両群間に有意な差はなかった。

 Christensen氏は、「インスリン療法にメトホルミンを併用したところ、IMTの値に変化はなかったが、有害事象も同等であり、HbA1c、体重、インスリン投与量の推移はむしろ良好だった。今後はサンプルサイズをさらに大きくして、より詳細に検討したい」とまとめた。