ギリシャHippokratio General HospitalのIoanna Zografou氏

 2型糖尿病患者に対するインスリン療法開始の遅れは、HbA1c値の上昇を招いていることが示された。ギリシャHippokratio General HospitalのIoanna Zografou氏らが、9月27日までバルセロナで開催されていた欧州糖尿病学会(EASD2013)で発表した。

 同研究は、スコットランドのエディンバラにあるWestern General Hospitalのデータベースを用いて、糖尿病と診断されてから治療法をインスリン療法に変更するまでとインスリンに切り替えた後でHbA1c値と体重の変化を比較した。

 対象は、2002年1月1日〜2011年6月30日の間にインスリン療法を開始した2型糖尿病患者509人。糖尿病と診断されてから12カ月以内にインスリン療法を開始した患者および妊婦、急性患者、入院患者は対象から除いた。

 検討の結果、2型糖尿病と診断されてから平均7.2±4.7年でインスリン療法に治療を切り替えていた。HbA1c値に着目すると、インスリン療法の導入12カ月前の平均HbA1c値は8.7±1.6%、6カ月前は9.1±1.4%、インスリン療法を開始した時点では10.3±1.6%と悪化していた。これに対して、インスリン療法の開始から6カ月後には8.5±1.3%、12カ月後に8.3±1.4%と改善していた。

 一方、体重については、インスリン療法開始時は89.7±21.6kgで、12カ月後には92.9±21.0kgとなっていた。

 演者らは平均HbA1c値の推移から、対象とした患者は平均57.3±41.7カ月をHbA1c>7%の状態で、32.1±31.7カ月をHbA1c>8%で、14.9±17.7カ月をHbA1c>9%で過ごしていたと推定した。インスリン療法に切り替える前は、血糖コントロールが不良の状態が長く続いていたことになる。

 結局、治療がインスリン療法に切り替わることで、HbA1c値は12カ月で2.02%(P<0.0001)減少した。ただし、体重は3.2kg増加した(P<0.0001)。また、インスリン治療開始前12カ月時点では、HbA1c値が7%未満の患者は8.8%だったが、治療の切り替えから12カ月後には15.1%に増えていた。さらには、HbA1c値が9%未満の患者は、開始前の6.6%から開始後12カ月には7.4%に増加していた。

 これらの結果から演者らは、「HbA1c値が10%を超えるまで、インスリン療法の導入を遅らせている実態が分かった。結果として、患者は高血糖の状態にさらされ続けていた」と指摘。その上で、インスリン療法を導入すると12カ月後には確実に血糖値をコントロールできる点を強調し、インスリン導入の遅れに警告を発した。