オランダLeiden大学のL.D.van Schinkel氏

 肥満のインスリン依存性2型糖尿病患者に対し、ルーワイ胃バイパス術を実施すると、術後に心膜脂肪は有意に減少し、血糖コントロールも改善することが示された。一方で、心機能の改善や心筋トリグリセリド量の減少は認められなかった。これは、オランダRadboud大学のJ.W.A. Smit氏らが行った前向き観察試験で明らかにしたもので、9月27日までバルセロナで開催中の欧州糖尿病学会(EASD2013)で、共同研究者でLeiden大学のL.D.van Schinkel氏が発表した。

 これまで、食事療法による体重減少では、心臓異所性脂肪が減少することは明らかになっていたが、肥満手術による体重減少については不明だったという。

 Smit氏らは、インスリン依存性2型糖尿病の肥満患者で、ルーワイ胃バイパス術を行った10人を対象に前向き試験を行った。被験者の40%が男性で、平均年齢は54(標準偏差:3)歳、平均糖尿病歴は13.9(同:2.7)年だった。全員、心血管疾患歴はなかった。

 術前ベースライン時と術後16週後に、心機能と異所性脂肪蓄積については核磁気共鳴画像(MRI)で、心筋トリグリセリド量については核磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)を用いて測定した。

 手術の結果、BMIの平均値は術前の41.3(標準偏差:1.4)kg/m2から、術後16週の34.1(標準偏差:0.9)kg/m2へと、有意に減少した(P<0.001) 。HbA1c値もまた、術前の7.8(同:0.4)%から6.8(同:0.4)%へと有意に減少し、血糖コントロールの改善が認められた(P<0.05)。インスリン投与量もまた、平均115(同:19)単位/日の減少が見られ、被験者のうち2人は、インスリン投与の中止につながった。

 心膜脂肪は減少し、中でも心膜外脂肪は‐17.3(同:6.5)%と、心外膜内側の心外膜下脂肪の変化幅‐6.4(同:2.3)%に比べ、より大きな減少が認められた。皮下脂肪の変化幅は‐35.5(同:3.0)%と、内臓脂肪の‐25.0(同:2.1)%に比べ大きかった。

 一方で心機能については、術後に有意な改善は見られなかった。具体的には、左室駆出率は術前が平均59.2(標準偏差:1.2)%で術後は平均60.2(同:1.7)%と有意差はなかった(P=0.374)。E/A比もまた、術前が平均1.26(同:0.12)で術後が1.28(同:0.17)と、有意な変化はなかった(P=0.885)。さらに心筋トリグリセリド量も、術前の1.18(同:0.15)%から術後の0.91(同:0.19)%へと、有意な変化はなかった(P=0.192)。

 会場からは、術後に心機能の改善が認められなかった点について、驚きと、残念だとする声が上がり、van Schinkel氏は、「研究グループの殆どのメンバーにとって、この点は驚きだった」とコメントした。