オランダGroningen大学のJ. Hoekman氏

 糖尿病性顕性腎症へのエンドセリン受容体拮抗薬ERA)であるavosentanの投与は、うっ血性心不全(CHF)リスクが増大する可能性があるが、中でも、投与後の早い段階で体重増が認められた患者や、スタチンを服用している患者で同リスクが増大するようだ。2型糖尿病で顕性腎症の1392人を対象に行った無作為化プラセボ対照試験「ASCEND」のデータについて、アドホック解析を行った結果、明らかになった。オランダGroningen大学のJ. Hoekman氏らが、9月23日から27日までバルセロナで開催中の欧州糖尿病学会(EASD2013)で発表した。

 ASCEND試験は、avosentan投与群で、体液貯留が原因と考えられるCHFが高率で発症したため、予定より早期の中止となった(avosentan群のプラセボ群に対するCHF発症に関するハザード比:2.76、P<0.001)。

 ASCEND試験では、被験者を無作為に3群に分け、avosentanを25mg/日、50mg/日、プラセボを、それぞれ投与した。被験者は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)、アンジオテンシンII受容体遮断薬(ARB)、またはその両方を、6カ月以上服用していた。主要評価項目は、末期腎不全、血清クレアチニン値が2倍に増加、死亡の統合イベント発生だった。同試験の追跡期間中央値は、avosentan群が4カ月、プラセボ群が5カ月だった。

 Hoekman氏らは、CHFリスクが高かったサブグループの特定を試みた。また、avosentanにより誘発された短期の体重とヘモグロビン値の変化が、CHF発症の予測因子かどうかについても分析を行った。

 その結果、avosentan群では、CHF発症群のベースライン時LDLコレステロール値が、非発症群に比べ有意に低く、逆に推算糸球体濾過量は高かった(それぞれP=0.003、P=0.044)。Avosentan群でスタチンを服用している患者の割合は、CHF非発症群が52.4%に対し、発症群は65.2%と有意に高率だった(p=0.055)。

 また、avosentan投与1カ月後に0.6kg以上体重が増加した患者は、そうでない患者に比べ、CHFリスクが有意に増大し、短期体重増加が同発症の予測因子であることが分かった(P=0.044)。Avosentanにより体重増加した患者に対し、利尿薬を投与することで、投与しない場合に比べ、その後の体重増は抑制された。

 一方でavosentan投与3カ月後の、ヘモグロビン値の変化は、CHF発症とは無関係だった。

 Hoekman氏は、今後ERAの試験を行う際には、毎週体重測定をするなど、体重コントロールが重要だとした。ただし体重コントロールのみでは不十分で、利尿薬による治療や、スタチン服用患者のモニタリングなどが必要だと指摘した。