藍野病院(大阪府茨木市)の吉田麻美氏

 糖尿病DM)は、アルツハイマー病AD)のリスクファクターとされ、高血糖やインスリン抵抗性などの関与が指摘されている。そこで、高齢の糖尿病患者の脳の萎縮度を調べ、その関連因子を解析した結果、高血糖だけでなく、内臓肥満や低血糖なども認知症の進行と関連していることなどが示された。9月23日からバルセロナで開催中の欧州糖尿病学会(EASD2013)で、藍野病院(大阪府茨木市)の吉田麻美氏らが発表した。

 対象は、60歳以上の2型DM患者121人(平均年齢71.1歳、男性58人/女性63人、HbA1c値:6.9%)。頭部MRIを撮影し、アルツハイマー病診断支援システムのVSRADソフトを用いて海馬傍回の萎縮度を解析した。

 5年間の追跡で、萎縮度の平均値は1.59から1.79に悪化した。萎縮の進行がほとんどなかったのは89人(萎縮−群)、萎縮度の進行が0.2以上見られたのは32人(萎縮+群)だった。

 萎縮+群は、萎縮−群に比べて有意に高齢で(74.1歳 対 70.0歳、P=0.012)、HbA1c値が高く(7.2% 対 6.8%、P=0.033)、食後2時間血糖値が高かった(223mg/dL 対 189mg/dL、P=0.016)。2群間で、糖尿病罹病期間、空腹時血糖値については有意差がなかった。

 また萎縮+群は、萎縮−群に比べて低血糖発作の回数が有意に多く(月に3回以上、25% 対 6.7%、P=0.029)、内臓肥満の割合も多かった(75.0% 対 48.3%、P=0.014)。

 萎縮の進行と関連因子について重回帰分析を行った結果では、HbA1c値のみが有意な関連因子だった。

 これらの結果を踏まえ吉田氏は、「本研究から、高血糖、低血糖のいずれもが認知症の進行と関連していることが示唆された。認知症の予防の意味からも、適切な血糖値を維持することが極めて重要であると言えるだろう」とまとめた。