オランダMaastricht UniversityのL. Engelen氏

 1型糖尿病患者においては、塩分摂取量過多微量アルブミン尿と関連があることが示された。EURODIAB Prospective Complications試験の1200人余を対象に行った研究で明らかになったもの。オランダMaastricht UniversityのL. Engelen氏らが9月23日からバルセロナで開催中の欧州糖尿病学会(EASD2013)で報告した。

 演者らは塩分摂取量と微小血管合併症との関連性を明らかにする目的で今回の検討を行った。対象は、EURODIAB Prospective Complications試験の登録者1212人。24時間蓄尿サンプルをもとに、ナトリウムとカリウムの濃度を測定し、微小血管合併症の有病率と尿中ナトリウム排泄量の関連性を調査するため多重ロジスティック回帰分析を行った。分析に当たっては、年齢や性別、BMI、喫煙の有無、尿中カリウム排泄量、降圧薬使用の有無、身体活動、総エネルギー、アルコール、飽和脂肪、繊維の摂取量などで調整を行った。EURODIAB Prospective Complications試験は、1型糖尿病患者(15〜60歳)を対象とするEURODIAB登録患者のうち全死亡に関するデータが得られた症例のサブ解析。

 試験の結果、患者背景は51%が男性で、年齢は40±10歳、糖尿病罹患期間は22±9年、HbA1c値は8.4±1.5%、収縮期血圧(SBP)は121±19mmHg、拡張期血圧は74±12mmHgだった。1212例のうち、微量アルブミン尿が205例に、顕性アルブミン尿が143例に確認された。また、非増殖性糖尿病性網膜症が507例に、増殖性糖尿病性網膜症が224例に認めた。

 24時間尿中ナトリウム排泄量は3.96±1.60g/日で、食事からとる塩分の摂取量としては9.90g/日に相当した。年齢や性別で調整した結果、1日当たりの塩分摂取量が増えると、微量アルブミン尿の症例も増えるという正の関係を認めた(オッズ比:1.06、95%信頼区間[CI]:1.02‐1.10)。しかし、顕性アルブミン尿、非増殖性糖尿病性網膜症、増殖性糖尿病性網膜症とは関連がなかった。調整因子を増やした分析モデルでも同様の結果だった。なお、降圧薬を使用しているか使用していない心血管疾患患者433例を除いて分析したところ、微量アルブミン尿のオッズ比は1.05(95%CI:1.00−1.10)と塩分摂取量との関連性は弱くなっていた。

 また、塩分摂取量と微量アルブミン尿の関連性について、BMI(25kg/m2以下と25kg/m2超)、GFR(90-120mL/minと<90mL/minあるいは>120mL/min)、カルシウム排泄量(平均以上と平均未満)のそれぞれのサブグループで検討したところ、BMI 25kg/m2超の場合に、微量アルブミン尿のオッズ比は1.11と上昇した。

 これらの結果から演者らは、「1型糖尿病患者において、特に体重過多か肥満の場合、塩分摂取量過多は微量アルブミン尿の危険因子となることが示唆された」と結論した。その上で、糖尿病性網膜症とは関連性を認めなかったことから、なぜこのような違いが生じたのかを含め、塩分摂取量過多が微小血管合併症に及ぼす影響を調べるため、さらなる前向きの試験が必要と指摘した。

■訂正
・9月30日に以下の訂正を行いました。
 3段落目に「糖尿病罹患期間は22±9歳」とあるのは「糖尿病罹患期間は22±9年」の誤記でしたので訂正します。