ブルガリアのSofia大学のPetya Kamenova氏

 高インスリン血症メタボリックシンドロームの患者において、メトホルミンの投与が心血管疾患(CVD)の発症リスクを下げ、インスリン分泌能を回復させて2型糖尿病発症の予防に寄与する可能性が示された。ブルガリアのSofia大学のPetya Kamenova氏が、9月23日にバルセロナで開幕した欧州糖尿病学会(EASD2013)で発表した。

 対象となったのは国際糖尿病連合(IDF)の基準でメタボリックシンドロームと診断された耐糖能異常のない、平均年齢40.1±14.2歳の男女52人(男性20人、女性32人)。経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を実施し、空腹時血糖値が6.1mmol/L未満で負荷後2時間血糖値が7.8mmol/L未満、空腹時血清インスリン値が25mlU/Lより高くかつ、または絶食せずに行う50g経口グルコース負荷試験(GCT)2時間値がベースラインの3倍(免疫放射定量分析法 2-25mlU/L基準範囲)となる症例に対象を絞り、1年間の前向き臨床試験を実施した。

 メトホルミンの投与は平均1日に2.55±0.2gを投与し、体重、BMI、腹囲、総コレステロール、中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール、収縮期血圧、拡張期血圧、空腹時血糖値、負荷後1時間血糖値、負荷後2時間血糖値、空腹時血清インスリン値、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)をそれぞれ3カ月ごとに計測した。

 測定値を解析した結果、メトホルミンの投与開始から6カ月時点で体重、BMI、腹囲が減り、1年後にはさらなる減少が認められた。具体的には、体重が97.5±18.5kgから6カ月時点で89.8±16.9kg(P=0.028)、1年後には85.3±16.7kg(P=0.001)に減少。BMIは6カ月時点で32.3±5.2kg/m2から29.9±4.8kg/m2(P=0.012)、1年後には28.4±5.0kg/m2(P=0.0004)に、腹囲は102.8±14.3cmが6カ月で95.3±12.2cm(P=0.004)、1年後には90.9±12.5cm(P<0.0001)と、それぞれ減少した。

 中性脂肪とLDL-Cは9カ月後から減少が見られた。中性脂肪は2.60±1.74mmol/Lから9カ月で1.55±0.69mmol/L(P=0.004)。1年後には1.44±0.53mmol/L(P=0.0004)となった。LDL-Cは、3.61±0.76mmol/Lから9カ月で2.77±0.65mmol/L(P=0.007)、1年後には2.74±0.94mmol/L(P=0.001)となった。

 HDL-Cは、1.10±0.34mmol/Lから1年後には1.44±0.28mmol/L(P=0.0005)と増加した。

 収縮期血圧と拡張期血圧は投与開始9カ月後から減少した。収縮期血圧は9カ月後に131±18mmHgから121±15mmHg(P=0.008)、1年後には119±12mmHg(P=0.0006)となった。拡張期血圧は、85±11mmHgから9カ月後には78±8mmHg(P=0.0009)、1年後には76±6mmHg(P<0.0001)に減少した。

 HOMA-IRは6カ月後には5.74±3.77から4.01±2.13(p=0.001)へ減少。1年後にはさらに2.58±1.40(P<0.0001)と改善した。

 空腹時血糖値は24.1±15.3mlU/Lから6カ月後には17.2±8.8mlU/L(P=0.012)、1年後には11.6±6.0mlU/L(P<0.0001)に減った。負荷後1時間血糖値は136.8±67.6mlU/Lから3カ月後には94.9±52.2mlU/L(P=0.009)、1年後には54.5±51.4mlU/L(P<0.0001)に、負荷後2時間血糖値は62.6±43.2mlU/Lから3カ月後は45.1±26.6mlU/L(P=0.04)、1年後には27.6±21.6mlU/L(P<0.0001)、負荷後3時間血糖値は23.2±11.7mlU/Lから6カ月後には13.3±7.1mlU/L(P<0.0001)、1年後には9.7±5.8mlU/L(P<0.0001)にそれぞれ減少した。

 OGTTの結果、血漿グルコースと血清インスリンもメトホルミン投与開始から1年後に減少していた。

 これらの結果からPetya Kamenova氏は、高インスリン血症のメタボリックシンドロームの患者において、メトホルミンの投与が「CVDの発症リスクを下げ、さらにはインスリン分泌能を回復させて2型糖尿病発症の予防につながるのではないか」とまとめた。