GLP-1受容体作動薬リラグルチドは、血漿グレリン濃度上昇と酸化ストレス軽減を介した抗動脈硬化作用を有する可能性が示唆された。2型糖尿病患者20人を対象として、リラグルチドとメトホルミンを2カ月間投与したパイロット研究の結果を踏まえたもの。イタリアUniversity of Palermo / Euro-Mediterranean Institute of Science and TechnologyのManfredi Rizzo氏らが、10月5日までベルリンで開催されていた欧州糖尿病学会EASD2012)で報告した。

 最近、リラグルチドは血漿グレリン濃度に影響を与えることが報告されている。グレリンは主に胃から産生されるペプチドホルモンで、さまざまな生理活性を有するが、抗動脈硬化作用で重要な役割を果たしている可能性も示唆されている。また、2型糖尿病患者は心血管リスクが高く、心血管疾患が主な死因であることは広く知られている。そこでRizzo氏らは、リラグルチドがグレリン濃度と動脈硬化進展に寄与することが知られている酸化ストレスに対し、血糖降下作用とは独立して影響を及ぼすかどうかを検討した。

 対象は、新たに診断されたか、経口糖尿病薬の処方内容が一定であった2型糖尿病患者20人(男女各10人、年齢57±13歳)。2カ月間にわたってリラグルチド(最初の2週間は0.6mg/日、その後は1.2mg/日。なお、日本における最大用量は0.9mg/日)とメトホルミン(1500mg/日)を投与した。

 検査用の全サンプルは16〜18時間の絶食後の朝に採取し、グレリン濃度と、酸化ストレスの指標として、活性酸素種(ROS)や脂質ヒドロペルオキシド、総チオールレベルを測定した。

 開始時のBMIは28.7±5.3kg/m2、空腹時血糖値は157±65mg/dL(8.7±3.6mmol/L)、HbA1cは8.0±2.0%だった。2カ月後は、BMIは28.5±4.3 kg/m2と有意な変化はなかった。しかし、空腹時血糖は137±41mg/dL(7.6±2.3mmol/L)、HbA1cは7.4±1.6%と、いずれも有意に低下した(それぞれP=0.0277、P=0.0378)。

 血漿グレリン濃度は、8.2±4.1pg/mLから13.6±7.7pg/mLへ有意に増加(P=0.0018)した一方で、血漿脂質ヒドロペルオキシドは、0.11±0.05pg/dLから0.04±0.07pg/mLへ有意な減少が認められた(P=0.0283)。なお、ROSと総チオールレベルは有意な変化が認められなかった。

 また、グレリンと脂質ヒドロペルオキシドの変化量と、BMIや空腹時血糖、HbA1cの変化量との間に関連性はいずれも認められなかった。

 今回はリラグルチドとメトホルミンの併用投与だったが、Rizzo氏は、「リラグルチドは、2カ月という短期間であっても、心血管・代謝(cardio-metabolic)のリスクマーカーである血漿グレリンおよび血漿脂質ヒドロペルオキシドに好ましい影響を及ぼした。また、これらの作用はリラグルチドの血糖に対する既知の作用とは関連しないことも示された」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)