Consorzio Mario Negri SudのAntonio Nicolucci氏

 2型糖尿病患者のうち、女性が男性に比べ、精神的ストレスが大きく、糖尿病に対する感情的負担も大きいことが分かった。うつ状態に陥るリスクも、女性は男性の2倍超だった。イタリアの2型糖尿病患者、約2400人について行った試験で明らかになったもの。Consorzio Mario Negri SudのAntonio Nicolucci氏が、10月5日までベルリンで開催されていた欧州糖尿病学会(EASD2012)で発表した。

 同研究グループは、イタリア30カ所の糖尿病外来診療所を通じて、2390人の2型糖尿病患者について、「WHO-5精神的健康状態表」と「糖尿病問題領域質問表」(PAID-5)を用い、患者の心理的負担などについて調査を行った。

 WHO-5では、スコアが高いほど精神状態が良好で、28以下でうつ状態だと考えられる。またPAID-5では、スコアが高い方が糖尿病を受け入れていない程度が高い。

 被験者のうち、男性は1427人で女性は963人、平均年齢は男性が64.2歳(標準偏差[SD]:10.0)、女性は66.0歳(SD:10.4)だった。平均BMIは男性が29.6kg/m2、女性が31.0kg/m2、平均糖尿病歴はそれぞれ13.2年と15.2年(いずれもP<0.0001)、平均HbA1c値はそれぞれ7.6%と7.8%だった(P=0.003)。

 その結果、WHO-5の平均スコアは、男性が62.7(SD:21.0)に対し、女性は49.8(SD:23.7)と、女性で男性より精神状態が悪かった(P<0.0001)。

 PAID-5でも、平均スコアは男性が42.1(SD:26.9)に対し、女性は51.5(同:28.0)と、糖尿病に対する感情的な負担が多かった(P<0.0001)。

 年齢、教育レベル、生活レベル、BMI、糖尿病歴などで補正後、WHO-5スコアが28以下となることに関する、女性の男性に対するオッズ比は、3.2(95%信頼区間[95%CI]:2.4〜4.3)と、そのリスクは3倍以上に上った。

 PAID-5でも、スコアが高い方から四分位範囲であることに関する、同オッズ比は、1.9(95%CI:1.5〜2.4)と、同リスクは2倍近かった。

 さらに、健康状態を測るSF-12調査票のスコアや、DES(Diabetes Empowerment Scale。病気に対する姿勢)などで補正を行うと、WHO-5スコアが28以下に関する同オッズ比は2.1(95%CI:1.5〜3.0)、PAID-5スコアが高い方から四分位範囲であることに関する同オッズ比は1.6(95%CI:1.2〜2.1)となった。

 平均HbA1c値が7.0%以下の女性の平均PAID-5スコアが45.4(SD:27.5)だったのに対し、7.0%超の女性では52.9(SD:27.4)と、有意に高く、糖尿病に関する精神的負担が大きかった(P=0.0003)。一方男性では、PAID-5スコアとHbA1c値には、有意な関連は認められなかった。

 WHO-5が低くあるいはPAID-5が高いほど、患者の糖尿病治療に関する満足度の指標であるGSDTは、低かった(いずれもP<0.0001)。

 Nicolucci氏は、「2型糖尿病の女性は、精神的ストレスが大きく、その点がアウトカムと関連しているようだ。女性は男性に比べ、精神的サポートがより必要だ」と結んだ。

 会場からの「男女の、医療ケアの違いなどはなかったのか」の質問に対し、Nicolucci氏は、「例えば医療ケアのアクセスや医療ケアのプロセスなど、ケア提供に関する男女差はなかった」と回答した。

(日経メディカル別冊編集)