筑波大学大学院水戸地域医療教育センターの平安座依子氏

 診断されていない糖尿病を検出するために開発されたスクリーニングスコア(TOPICS Score)は、将来の2型糖尿病リスク評価にも有用であることが報告された。筑波大学大学院水戸地域医療教育センターの平安座依子氏らが、10月5日までベルリンで開催されていた欧州糖尿病学会EASD2012)で成果を発表した。

 演者らは、未診断の糖尿病のためのスクリーニングスコア(TOPICS Score)を開発し、スコアの妥当性と将来の糖尿病発症予測の有効性について評価した。

 未診断糖尿病の検出の妥当性については、7477人(2009〜2010年)の糖尿病患者を対象にコホート研究を行って検証した。

 一方の将来の糖尿病発症予測については、合計3万4658人の日本人(18〜88歳、1997〜2004年に登録)を対象に、自己申告で糖尿病歴のない人で構成されるコホート研究(因子を抽出するコホート、n=33335。発症予測を検証する前向きコホート研究、n=7332)を行った。発症予測を検証する前向きコホート研究では、開発したスクリーニングスコアにより、試験開始時に評価後、2年経過時と4年経過時に再評価を受けた7332人の非糖尿病患者について前向きに追跡し、糖尿病発症リスクを求めた。

 解析の結果、未診断の糖尿病(空腹時血糖値≧7.0mmoL/LあるいはHbA1c≧6.5%)は、3万3335人中965人(2.9%)だった。前糖尿病状態は1万411人(31.2%)だった。この段階で未診断の糖尿病を検出するための因子として抽出されたのは、年齢、性別、糖尿病の家族歴、現在の喫煙習慣、BMIおよび高血圧だった。各因子のオッズ比を求めて、TOPICS Scoreを構築した(オッズ比に対応し、0〜5の数字を設定。合計をスコアの値とした)。なお、年齢は40歳未満、40‐49、50‐59、60歳以上に、BMIは23未満、23‐24、25‐29、30kg/m2以上に、それぞれ層別化してオッズ比を求めてスコア化した。

 スコアと未診断糖尿病の検出については、たとえばTOPICS Scoreが13以上では、未診断糖尿病が17%、前糖尿病状態が57%となった。最適カットオフ値を求めたところ、8ポイントとなり、感度72.7%、特異度68.1%だった。

 Kaplan-Meier分析の結果、糖尿病を発症する絶対リスクはスコアの増加とともに次第に増大した(log-rank検定、P<0.0001)。また、スコアが8〜9(増加比率、12.6/1000人・年)と≧10(23.3/1000人・年)の被験者においては、低いスコア群あるいは被験者全体よりも糖尿病発症リスクが大幅に増加することが観察された。そこで糖尿病発症のハザード比(HR)を求めたところ、スコアが6〜7ポイントの被験者に比べて、8〜9ポイント(HR:1.83、95%信頼区間[95%CI]:1.32-2.52)と≧10ポイント(HR:3.48、95%CI:2.49-4.88)の被験者の方が有意に高かった。

 これらの結果から演者らは、「糖尿病発症リスクに関する予測情報が未診断糖尿病用の初期スクリーニングスコアでも得られることが分かった」と結論。その上で、「本研究の結果は、臨床の場以外で患者本人の糖尿病リスク測定に、または新規の糖尿病発症予防のために追跡が必要な患者の把握に役立つと思われる」と考察した。

(日経メディカル別冊編集)