ギリシャAristotle大学のA.Taspas氏

 2型ナトリウム依存性グルコース輸送担体SGLT2)阻害薬は、プラセボや他の糖尿病治療薬と比較して、中程度もしくは高いHbA1c値低下効果があり、減量効果もあることが、メタ解析から示された。また、低血糖の発症リスクは低く、主な副作用としては尿路感染症と生殖管感染症が認められた。ギリシャAristotle大学のA.Taspas氏らが、10月5日までベルリンで開催されていた欧州糖尿病学会(EASD2012)で発表した。

 SGLT2阻害薬は、腎臓でのグルコース再吸収を阻害して尿中へのグルコース排泄を促進する新しいタイプの経口糖尿病治療薬だ。今日、2型糖尿病患者において多くの臨床試験が行われている。今回Taspas氏らは、SGLT2阻害剤を単剤もしくは追加療法として使用した場合の有効性と安全性についてメタ解析を行って評価した。

 成人の2型糖尿病患者を対象とし、SGLT2阻害薬とプラセボや他の糖尿病治療薬を12週間以上のランダム化比較試験によって評価している研究を抽出し、メタ解析を行った。探索元は、電子データベースのMedline、Embase、Cochrane Library、さらにEASD、ADA、IDF、AACE、online trial registries、pharmaceutical companieのWebサイトとした。

 電子データベースの探索の結果、563件の論文のうち、条件にあうものを抽出したところ最終的に13件の論文がメタ解析の対象となった。一方の学会サイトの探索では、45件の発表から条件にあう32件の発表を抽出した。合計で45論文(39研究)を対象としたメタ解析を行った。

 HbA1c値のベースライン時からの変化を見たところ、SGLT2阻害薬群対プラセボ群の加重平均値は−0.73%(95%信頼区間[95%CI]:−0.82〜−0.63)だった。他薬剤に対する加重平均値は−0.12%(95%CI:−0.23〜−0.01)だった。同様に体重変化を見ると、対プラセボ群の加重平均値は−2.00kg(95%CI:−2.22〜−1.78)、対他薬剤の加重平均値は−2.56kg(−3.70〜−1.42)だった。

 収縮期血圧の変化は、対プラセボ群の加重平均値は−4.06mmHg(95%CI:−2.22〜−1.78、異質性[I2]:44%)、対他薬剤の加重平均値は−4.31mmHg(95%CI:−5.16〜−3.47、I2:0%)。拡張期血圧の変化は、対プラセボ群の加重平均値は−1.94mmHg(95%CI:−2.32〜−1.50、異質性[I2]:0%)、対他薬剤の加重平均値は−2.07mmHg(95%CI:−2.66〜−1.49、I2:0%)だった。

 低血糖のリスクについては、対プラセボ群のリスク比は1.19(95%CI:1.09〜1.29)とSGLT2阻害薬群で有意に高かった。一方、対他薬剤のリスク比は0.36(95%CI:0.13〜0.99)とSGLT2阻害薬群で有意に低かった。

 尿路感染症のリスクについては、対プラセボ群のリスク比が1.28(95%CI:1.06〜1.55、I2:0%)、対他薬剤ではリスク比1.30(95%CI:1.02〜1.64、I2:0%)だった。生殖管感染症のリスクは、対プラセボ群のリスク比が4.00(95%CI:2.86〜5.58、I2:17%)、対他薬剤ではリスク比5.25(95%CI:3.73〜7.39、I2:0%)と、いずれも有意に高まっていた。

 ベースライン時のHbA1c値の影響を評価するため、HbA1c値の加重平均値とベースライン時のHbA1c値の相関を検討したところ、SGLT2阻害薬対プラセボの相関係数は−0.115(95%CI:−0.353〜0.123、P=0.327)、SGLT2阻害薬対他の薬剤の相関係数は0.187(95%CI:−0.046〜0.419、P=0.101)で、有意な相関は認めなかった。また、有意なパブリケーションバイアスは認められなかった。

 Taspas氏は、今回の解析の強みとして、複数のデータベースを用い、著者と連絡を取った包括的な検索であること、未発表のレポートを含めていること、異質性を評価していることなどを挙げた。一方で、多くの研究は報告例数が少なかったこと、他の薬剤と比較した研究数が少なかったこと、ほとんどの研究は製薬企業が出資しているためバイアスがかかっている可能性があること、などを限界として挙げた。

 これらの結果からTaspas氏は、「SGLT2阻害薬は、中程度もしくは高いHbA1c低下効果があり、減量効果もある。一方で、低血糖の発症リスクは低かった。主な副作用としては尿路感染症と生殖管感染症が挙げられる」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)