オランダVU Medical CenterのIris Walraven氏

 空腹時プロインスリン値が16.5pmoL/L超である患者では、そうでない人に比べ、長期癌死亡リスクはおよそ2倍に増大することが、オランダの白人400人超を対象に行ったコホート研究で明らかになった。この成果は、オランダVU Medical CenterのIris Walraven氏が、10月5日までベルリンで開催されていた欧州糖尿病学会(EASD2012)で発表した。

 これまで、基礎実験ではプロインスリンと癌の関連が指摘されていたが、グルコース代謝と癌リスクについて検討した試験でプロインスリンとの関連性を調べたものはなかったという。

 Walraven氏らは、50〜70歳の白人2484人を対象にしたグルコース代謝に関する住民対象コホート研究(Hoorn)の被験者のうち、プロインスリンを測定した438人について、1989年から2009年まで追跡し、癌死亡率との関連を分析した。

 被験者のうち半分が男性、平均年齢は64歳で、追跡期間の中央値は17.3年だった。プロインスリン値に応じて、その三分位点である9.4pmoL/L未満、9.4〜16.5pmoL/L、16.5 pmoL/L超の三群に分類し、癌死亡率を比較した。

 その結果、プロインスリン値が9.4pmoL/L未満と9.4〜16.5pmoL/Lの群では、癌死亡率の傾向が同等だったため、両群を合わせ、16.5 pmoL/L超と比較した。

 Cox回帰分析の結果、年齢、性別のみ補正した場合、プロインスリン値16.5 pmoL/L超の癌死亡に関するハザード比は、16.5pmoL/L未満に対し、2.01(95%信頼区間[95%CI]:1.16〜3.46)だった。さらに、糖代謝、体格指数、喫煙の有無を全て補正した場合でも、同ハザード比は、16.5pmoL/L未満に対し、1.91(95%CI:1.04〜3.52)と、依然として2倍近かった。

 総死亡リスクについて見てみると、年齢と性別のみ補正した場合では、プロインスリン値16.5pmoL/L超の16.5pmoL/L未満に対するハザード比は、1.62(95%CI:1.18〜2.24)だったが、糖代謝、体格指数、喫煙の有無も補正すると、同ハザード比は1.44(95%CI:0.99〜2.09)となり、有意差は無くなった。癌以外の死亡について見てみると、両群の差はさらに縮小した。

 Walraven氏は、この結果を受けて、患者のプロインスリン値によるスクリーニング実施の可能性を念頭におきながら、さらなる試験を行うべきだと結んだ。

 会場からは、「プロインスリン値と心血管疾患死の関連は調べたか」との質問があり、Walraven氏は「別の試験で調べた結果、プロインスリン値が高いと、心血管疾患死リスクも高かった」と回答した。また、プロインスリン値が高い原因として、「身体活動レベルが異なるのではないか」との問いに対し、同氏は「身体活動レベルの違いについても補正してみたが、結果は変わらなかった」と答えた。

(日経メディカル別冊編集)