オランダTilburg UniversityのM.M.P.van der Heijden氏

 2型糖尿病患者において、適切な身体活動量を維持することは重要で、運動不足は合併症の主要なリスクとなる。しかし、これまで糖尿病患者の運動効果に関する研究は、血糖値や体重、血圧など生理学的な側面に関する報告が多かった。そこで、2型糖尿病患者を対象としたメンタル面への運動効果を調べたRCT試験についてシステマティック・レビューを行ったところ、不安、うつ、QOL、幸福感などに対する効果は不明瞭だった。10月5日までベルリンで開催されていた欧州糖尿病学会(EASD2012)で、オランダTilburg UniversityのM.M.P.van der Heijden氏らが発表した。

 システマティック・レビューの基準は、2型糖尿病患者を対象としたRCT試験で、最低4週間以上の運動トレーニング群を行い対照群との比較を行ったもの。評価項目は、QOL、不安の症状、うつ、幸福感(emotional well-being)とした。

 把握した1224件の文献のうち、基準を満たした20件のRCT試験(計1719人)について考察を行った。

 被験者の年齢は43〜70歳で、BMIは25〜40kg/m2、HbA1cは46〜75mmoL/moL(6.4〜9.0%)だった。運動の種類は、歩行などのエアロビック運動が10試験、ウエイトなどを使ったレジスタンス運動が5試験、それらのコンビネーション運動が10試験だった。運動の持続時間は10〜60分、頻度は週に1〜5回以上、トレーニング期間は6〜12週間だった。

 運動のQOLへの効果を調べた16の試験中、エアロビック運動の効果はすべて無効で、レジスタンス運動とコンビネーション運動については有効と無効の両方の結果が混在した。

 うつについては、4つの試験中、レジスタンス運動の1試験で有効だったが、エアロビック運動とコンビネーション運動はすべて無効だった。

 不安について調べた試験は1つのみだったが、結果は有効だった。

 幸福感については6つの試験中、エアロビック運動(3試験)とレジスタンス運動(2試験)は有効と無効のいずれの結果も混在し、コンビネーション運動の1試験は無効だった。

 運動によるメンタル面の効果が認められる試験もいくつか見受けられたが、これらの結果は総じて有効と無効の結果が混在していて評価は不明瞭だった。Heijden氏は、「限られた数の試験の考察となり、明確な結論は得られなかったが、今後、2型糖尿病患者のメンタル面に対する運動の効果を評価する、質の高いRCT試験が行われる必要があるだろう」と話した。

(日経メディカル別冊編集)