Kaiser Permanente Center for Health ResearchのGregory A. Nichols氏

 2型糖尿病患者心血管疾患入院リスク総死亡リスクは、HbA1c値が7〜8%の人を最低に、同値の増大あるいは減少に伴いリスクが増大するという「U字型」の関係にあることが、米国の試験でも確認された。HbA1c値が9.0%超の場合の死亡リスクは1.49倍に、7.0%未満では1.21〜1.81倍に増大するという。米国Kaiser Permanente Center for Health ResearchのGregory A. Nichols氏らが、約2万7000人を対象に行った試験で明らかにしたもの。成果は、10月5日までベルリンで開催されていた欧州糖尿病学会EASD2012)で発表された。

 これまで、英国の試験結果から、HbA1c値と心イベントや総死亡リスクについて、U字型の関係があることが明らかになっていた。

 Nichols氏らは、民間医療保険プラン「Kaiser Permanente Northwest」の加入者(約47万5000人)のうち、2009年までに2型糖尿病の診断を受け、心血管疾患による入院歴のない2万6636人について、縦断的観察試験を行った。

 被験者について、2002年以降の平均HbA1c値と、心血管疾患による入院、総死亡の関連について分析した。追跡は、被験者が死亡、保険プランを退会するまで、または2010年末まで行った。平均追跡期間は6.2年だった。

 試験の結果、年齢、性別、糖尿病歴で補正後の、心血管疾患による初回入院の発生率は、平均HbA1c値が7.0〜7.4%の群が最も低く、9.7/1000人・年だった。平均HbA1c値の増大・減少に伴い、同発生率はいずれも増大した。具体的には、平均HbA1c値7.5〜7.9%では同発生率は10.3/1000人・年、8.0〜8.4%で10.5/1000人・年、8.5〜8.9%で14.6/1000人・年、9.0%超で18.2/1000人・年だった。また、平均HbA1c値6.5〜6.9%で10.4/1000人・年、6.0〜6.4%で10.2/1000人・年、6.0%未満で13.4/1000人・年だった。

 総死亡率についても同様の傾向が認められ、平均HbA1c値7.5〜7.9%群の9.0/1000人・年を最低に、HbA1c値の増大・減少に伴い、総死亡率はいずれも増大した。平均HbA1c値8.0〜8.4%では10.9/1000人・年、8.5〜8.9%で11.3/1000人・年、9.0%超で15.3/1000人・年だった。また、平均HbA1c値7.0〜7.4%で9.7/1000人・年、6.5〜6.9%で10.5/1000人・年、6.0〜6.4%で13.1/1000人・年、6.0%未満で17.5/1000人・年だった。

 心血管疾患による初回入院について、HbA1c値7.0〜7.4%に対する補正後相対リスクは、HbA1c値8.5〜8.9%が1.55(95%信頼区間[95%CI]:1.24〜1.94、P<0.001)、9.0%超が1.83(95%CI:1.50〜2.22、P<0.001)、また6.0%未満群で1.75(95%CI:1.44〜2.11、P<0.001)だった。

 総死亡に関するHbA1c値7.0〜7.4%に対する補正後相対リスクは、9.0%超が1.49(95%CI:1.23〜1.80、P<0.001)、6.5〜6.9%で1.21(95%CI:1.07〜1.36、P=0.002)、6.0〜6.4%で1.41(95%CI:1.24〜1.59、P<0.001)、6.0%未満群で1.81(95%CI:1.57〜2.08、P<0.001)だった。

 Nichols氏は、2型糖尿病患者のHbA1c値は、7〜8%にコントロールすることで、心血管疾患リスクや死亡リスクは最低に抑えられると結論づけた。

 コメンテーターからは、「もともとHbA1c値が高い人と低い人での違いについてはどうなのか」という質問があったが、Nichols氏は「その点については調べていないので、回答できない」とした。

(日経メディカル別冊編集)