米国MedStar Health Research InstituteのVanita R. Aroda氏

 試験開始時のHbA1c値が8.5%未満、前治療が食事療法または経口糖尿病薬の単剤療法、女性、糖尿病罹患歴が4.9年未満――。これらが、GLP-1受容体作動薬リラグルチド1.8mgを26週間投与した場合に、体重増加と低血糖を来すことなく、HbA1c(NGSP値)7%未満を達成できる可能性が高い患者の特徴であることが明らかになった。さらに、胃腸障害を起こしやすい患者像は、白人女性であることも分かった。米国MedStar Health Research InstituteのVanita R. Aroda氏らが、10月1日からベルリンで開催中の欧州糖尿病学会(EASD2012)で発表した。

 今回、患者像の同定に用いたのは再帰分割分析(recursive partitioning analysis)だ。それぞれの変数(本検討では、年齢、人種、性別、前治療の内容、糖尿病罹患歴、BMI、HbA1c、空腹時血糖などを候補とした)において患者を2分することを繰り返して枝分かれさせながら分類ツリーを作成することで、最終的に、事前に規定した複合エンドポイントを最も達成しやすい集団の因子を明らかにする。

 今回の検討では、事前に規定した複合エンドポイントは、「26週間の治療後に、HbA1c値7%未満、体重増加なし、低血糖(血糖値56mg/dL以下で援助または自己治療を要するエピソード)なし」。解析対象は、2型糖尿病患者を対象にリラグルチドと他の糖尿病治療薬を比較した7つの臨床試験に登録された1530例。事前規定の複合エンドポイントを達成していた患者は全体の34%だった。

 これらの患者において再帰分割分析を行ったところ、リラグルチドによる治療への反応性が最も高まるのは、「試験開始時のHbA1c値8.5%未満、前治療が食事療法または経口糖尿病薬の単剤療法、女性、糖尿病罹患歴4.9年未満」であることが分かり、複合エンドポイント達成率は74%だった。反対に、達成率が最も低くなる患者像は、「試験開始時のHbA1c値8.5%以上、前治療が経口糖尿病薬の併用療法」で、達成率は14%だった。

 さらに、同じ分析法により、臨床的に問題となる胃腸障害(悪心が連続3日以上、嘔吐が1日以上、治療中の嘔吐が2回以上、悪心や嘔吐が原因で臨床試験への参加中止のいずれか)を起こしやすい患者像を同定したところ、「女性、白人」であることが示され、27%が経験していた。その一方、「女性、黒人やアジア人など」が起こしにくい患者像であり、経験率は14%であった。

 最後にAdora氏は、「臨床試験でベネフィットが示されている治療であっても、すべての患者でその治療が必ず有用とは限らない。しかし、再帰分割分析により、治療に反応しやすい患者像が同定できれば、2型糖尿病患者に対する個別化治療を行う上で参考になる可能性がある」と語った。

(日経メディカル別冊編集)