米国Ochsner Medical CenterのLawrence Blonde氏

 治療開始時のHbA1c値だけでなく、肥満糖尿病罹病期間の長さも、血糖コントロールに影響を与えるのではないかとしばしば指摘される。しかし、超持効型インスリン製剤のインスリン デグルデクは罹病期間やBMIによらず、一定したHbA1c低下作用を発揮する可能性が示された。10月1日からベルリンで開催中の欧州糖尿病学会(EASD2012)で、米国Ochsner Medical CenterのLawrence Blonde氏らが報告した。

 糖尿病の治療ではHbA1c 6.5%以下あるいは7%未満を目標にすべきとの考え方が広く支持されている。ところが、実臨床ではさまざまな理由により、そうした目標値を達成できないケースが少なくない。一方、デグルデクの第3相試験では、目標とする空腹時血糖値になるようにインスリン投与量を調節するtreat-to-target法が用いられ、オープンラベル無作為化国際多施設共同試験により、持効型インスリン製剤であるインスリン グラルギンを対照薬として有効性と安全性が検討された。そこでBlonde氏らは、背景が異なる患者を対象に第3相試験が複数実施されたことに着目し、それらのデータを基に、糖尿病の罹病期間やBMIの違いがデグルデクのHbA1c低下作用にどのような影響を与えるのかを解析した。

 本解析では3つの第3相試験のデータを用い、計1444例を対象とした。3試験の対象患者や試験期間、主な選択基準は以下の通り。

 試験Aは、インスリン療法を過去に受けておらず経口糖尿病薬のみで治療していた131例と、経口糖尿病薬使用の有無を問わずべーサルインスリン療法を受けていた97例を合わせた2型糖尿病患者228例が対象で、治療期間は26週間。選択基準は、BMI 40kg/m2以下、糖尿病罹病期間6カ月以上、HbA1cはインスリン未治療患者で7〜11%、インスリン療法患者で7〜10%だった。

 試験Bは、経口糖尿病薬使用の有無を問わず、いずれのインスリン療法でも受けていた2型糖尿病患者744例、治療期間は52週間、BMI 40kg/m2以下、罹病期間6カ月以上、HbA1cは7〜10%。

 試験Cは、べーサルボーラス療法を受けていた1型糖尿病患者472例で、治療期間は52週間、BMI 35kg/m2以下、罹病期間12カ月以上、HbA1cは10%以下だった。

 HbA1c低下量を指標としたところ、いずれの試験でもデグルデクの有効性が認められた。HbA1c 7.0%未満と同6.5%以下の達成率は、試験Aがそれぞれ41%、23%、試験Bが49%、31%、試験Cが40%、24%だった。

 各試験において、ベースラインの平均HbA1c値を全体、7.0%未満達成群、6.5%以下達成群の順に見ると、試験Aは8.4%、7.9%、7.8%、試験Bは8.3%、8.0%、8.0%、試験Cは7.7%、7.0%、6.8%だった。「治療開始時のHbA1c値が低い方が目標値に到達しやすいのは、すでに数多く報告されている通りだ」と、Blonde氏はコメントした。

 次に、ベースラインにおける罹病期間とHbA1cの関連を検討した。試験Aにおいては、全体は10.3年、HbA1c 7.0%未満達成群は9.9年、同6.5%以下達成群は9.0年だった。試験Bは順に13.6年、13.9年、14.0年、試験Cは19.1 年、19.9 年、19.1 年であり、いずれの試験でも、すべての患者と目標HbA1c値を達成した患者との間に、罹病期間の長さに違いはなかった。

 ベースラインのBMIとHbA1cの関係も同様に検討してみた。試験Aでは、全体のBMIは29.4 kg/m2 、HbA1c 7.0%未満達成群は29.0kg/m2、同6.5%以下達成群は28.4 kg/m2。試験Bでは順に32.3kg/m2、32.8kg/m2、32.9kg/m2、試験Cでは26.3kg/m2、26.5kg/m2、26.7kg/m2だった。BMIに関しても、各試験において、すべての患者と目標HbA1c値を達成した患者との間に違いはなかった。

 Blonde氏は以上の結果を踏まえ、「デグルデクでべーサルインスリン療法を新規に導入するにせよ、他のインスリン療法からデグルデクに切り替えるにせよ、HbA1c値7.0%未満あるいは6.5%以下という目標を達成する上で、ベースライン時の糖尿病罹病期間やBMIは影響していなかった」と結論した。また、「患者背景のどの因子が将来のHbA1c値に影響を与えるのかは、依然として興味深いテーマであるため、さらなる検証を期待したい」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)