米国RockvilleにあるEndocrine and Metabolic ConsultantsのHelena W. Rodbard氏

 インスリン治療歴のない2型糖尿病患者を対象とした2年間のtreat-to-target試験において、新しい超持効型インスリン製剤であるインスリン デグルデクは、既存の持効型インスリン製剤であるインスリン グラルギンと同程度、HbA1cを指標とした血糖コントロールを良好に改善し、夜間低血糖重大な低血糖はデグルデクの方が有意に少ないことが明らかになった。米国RockvilleにあるEndocrine and Metabolic ConsultantsのHelena W. Rodbard氏らが、10月1日からベルリンで開催中の欧州糖尿病学会EASD2012)で発表した。

 両インスリン製剤間で低血糖を含む安全性および有効性を比較するため、目標とする朝食前血糖値(自己測定)を設定しインスリン投与量を調節するtreat-to-target法を用いて試験を行った。対象は、2型糖尿病罹病期間が6カ月以上、HbA1cが7.0〜10.0%、BMIが40kg/m2以下で、過去にインスリン療法を受けていない18歳以上の2型糖尿病患者1030人。薬物療法については、メトホルミン単独、あるいはメトホルミンとDPP-4阻害薬、SU薬、グリニド薬、αグルコシダーゼ阻害薬のアカルボースの併用を条件とした。

 これらの患者を、デグルデクを投与する群(デグルデク群、773例)とグラルギンを投与する群(グラルギン群、257例)に3対1に無作為に割り付けた。メトホルミンとDPP-4阻害薬は割付前の投与量・頻度を維持したが、それ以外の経口糖尿病治療薬は中止した。また、グラルギンは各国の用法・用量に従い1日1回同じ時間に、デグルデクは1日1回夕食時に、それぞれ注射することとした。インスリンの投与量はともに10Uから始め、3日間連続して測定した朝食前血糖値(自己測定)が70mg/dL以上90mg/dL未満(3.9〜4.9mmol/L)となるように週1回用量調節を行った。

 まず52週間の試験を実施し、1週間のwash out期間を設けた後、当初と同じくtreat-to-target法でさらに52週間にわたり試験を行った(総投与期間は104週間)。なお、wash out期間中はNPHインスリン製剤を用いた。

 最初の52週間における解析結果については、今年の米国糖尿病学会(ADA2012)ですでに発表されている(関連記事)。今回は105週間のデータが報告された。

 2年目の試験期間における対象患者はデグルデク群が551例、グラルギン群が174例だった。105週間の試験を完了したのはデグルデク群が全体の65%、グラルギン群が60%と、同程度の割合であり、中止理由に両群間の違いはなかった。患者背景にも特に差はなかった。

 低血糖(血糖値56mg/dL未満、あるいは第三者による介助を要する重大な低血糖)の発現件数を見ると、デグルデク群が1.72件/人・年、グラルギン群が2.05件/人・年で、ERR(estimated rate ratio)は0.84(95%信頼区間[95%CI]:0.68-1.04、P=0.12)とデグルデク群で16%少なかったが、統計的な有意差はなかった。

 夜間低血糖(午前0時1分から5時59分までに発現した低血糖)の発現件数は順に0.27件/人・年、0.46件/人・年で、ERRは0.57(95%CI:0.40-0.81、P=0.002)とデグルデク群で43%統計的に有意に少なかった。また、重大な低血糖の発現件数は順に0.006件/人・年、0.021件/人・年と両群ともに少なかったが、ERRは0.31(95%CI:0.11-0.85、P=0.023)と、デグルデク群の方が69%統計的に有意に少なかった。

 安全性については、体重増加や有害事象、注射部位反応などで両群間に差は見られなかった。インスリン抗体については、52週時と試験終了時のいずれにおいても両群ともに有意な抗体の産生を認めなかった。

 試験終了時の1日当たりのインスリン投与量は両群ともに60U(0.63U/kg)だった。

 血糖コントロールに関して、HbA1cは2年間の治療により、デグルデク群はベースラインの8.2%から7.2%に、グラルギン群は8.2%から7.1%にそれぞれ低下し、群間差に統計的に有意な差は認められなかった。一方、空腹時血糖値の群間差には統計的に有意な差が認められ、デグルデク群の方がより低下していた(P=0.019)。

 以上の結果からRodbard氏は、「インスリンの使用経験がない2型糖尿病患者において、デグルデクはグラルギンと同程度にHbA1cを改善し、空腹時血糖値はデグルデクの方が有意に低下させた。さらに、デグルデクでは、夜間低血糖や重大な低血糖はグラルギンと比較して統計的に有意に少なかった。したがって、デグルデクの長期使用は安全であり、忍容性は良好である」と総括した。

(日経メディカル別冊編集)