ドイツCentral Research Institute for Ambulatory Health CareのL. Altenhofen氏

 糖尿病患者疾患管理プログラムへの参加をやめてしまう理由とは何なのか――。この問いに対する1つの答えが示された。ドロップアウトした患者と参加を続けた患者を比較検討した結果、参加をやめてしまう患者には、年齢が高く、糖尿病を長く患い、入院する必要がたびたび起こり、重度の併存疾患にかかる頻度が高い、などの特徴が明らかになった。ドイツCentral Research Institute for Ambulatory Health CareのL. Altenhofen氏らが、10月1日からベルリンで開催中の欧州糖尿病学会EASD2012)で発表した。

 演者らは同センターがドイツの北ライン地方で実施している2型糖尿病の疾患管理プログラム(DMP)において、参加をやめてしまった患者グループについての定量的なデータがあることから、これらの患者を対象にDMP離脱リスクの解明に取り組んだ。

 2011年末までに47万1297人の患者がDMPに参加した。一方、2010年末までに3万5843人の患者がプログラムから離脱していた。登録管理資料によると、この3万5843人の患者のうち5999人が死亡していたため、合計で2万9844人の離脱患者が分析対象となった。演者らはまず、これらのデータを記述統計により分析した。その上で、DMP離脱リスクをロジスティック回帰分析により算出した。

 分析の結果、2010年時点の最新記録データによると、参加を継続した患者に比べて、DMPから離脱した患者は平均年齢が高く(68.0±14.5歳 対 67.6±11.6歳)、糖尿病罹患期間が長かった(11.1±7.8年 対 10.3±6.9年)。75歳以上の患者の割合は、離脱群が34.9%、継続群が25.9%だった。同様に、糖尿病罹病期間が10年以上の患者の割合は42.7%と38.1%、HbA1c値8.5%以上の割合は15.9%と10.2%、血圧140/90mmHg以上の患者の割合は39.5%と40.8%だった。

 多変量モデルでは、年齢が高い(76歳以上 対 65歳以下、オッズ比[OR]:1.71、95%信頼区間[95%CI]:1.62-1.81)、重度の併存疾患の発症(失明、透析、切断の合計OR:1.57、95%CI:1.36-1.81)、HbA1c値が8.5%以上(OR:1.76、95%CI:1.66-1.86)、緊急入院による糖尿病治療(OR:1.50、95%CI:1.13-1.99)、重度低血糖の発生(OR:1.45、95%CI:1.09-1.95)がDMP離脱の最も重要なリスク因子であった。また、これらのリスク因子は、患者教育に欠席する(OR:1.29、95%CI:1.23-1.34)、または眼の検査を怠る(OR:1.69、95%CI:1.61-1.76)こととも大きな相関があることが分かった。

 これらの結果から演者らは、「DMPを離脱する患者は、年齢が高く、糖尿病を長く患い、入院する必要がたびたび起こり、重度の併存疾患にかかる頻度が高いことが分かった。加えて、患者教育への参加や眼の検査を怠るリスクが高い点は、治療順守が低いという兆候と捉えられる」とまとめた。その上で、「DMPを早くに離脱する患者は、疾患管理上、重要な標的グループである」と指摘し、まずは「プログラム離脱に関して個々人のさまざまな理由について調べるために、さらにDMPの組織的で全体的な研究が急務である」とし、こうした離脱理由の把握については、DMPを行っているドイツの他の地方でも確認する必要があると訴えた。

(日経メディカル別冊編集)