イタリアのFedericoII大学のG.Annuzzi氏

 心血管疾患のリスクを軽減する栄養成分として、食物中のポリフェノールn-3系脂肪酸の2つが注目されている。しかし、これらの成分が食後の脂質代謝に及ぼす影響については明らかではない。そこで、心血管疾患リスクの高い人を対象に、ポリフェノール、n-3系脂肪酸を多く含む食事を用いてランダム化比較試験を実施したところ、これらを多く含む食事を摂った群で血清中の中性脂肪が減少したことなどが示された。10月1日からベルリンで開催中の欧州糖尿病学会EASD2012)で、イタリアのFedericoII大学のG.Annuzzi氏らが発表した。

 対象は、35歳から70歳までの心血管疾患リスクの高い74人(BMIは27〜35kg/m2、腹囲径は男性102cm超、女性88cm超で、さらにメタボリック症候群の基準をもう1つ有する)。

 A群(ポリフェノールもn-3系脂肪酸も少ない食事、コントロール群)、B群(n-3系脂肪酸が豊富な食事)、C群(ポリフェノールが豊富な食事)、D群(ポリフェノールもn-3系脂肪酸も豊富な食事)の4群に無作為に分け、開始時および8週間後に、空腹時とテスト食の後6時間後に採血し、血清脂質とリポ蛋白のサブ分画を調べた。採血前にとるテスト食は、いずれもカロリーは948kcalで栄養素構成は同じとした。ポリフェノールが豊富な食事群は、緑茶、ビルベリージャム、たまねぎ、ダークチョコレート、ほうれん草などを、n-3系脂肪酸が豊富な食事群には、サーモン、アンチョビを強化した。

 試験を完了したのは63人でA群19人、B群14人、C群15人、D群15人。いずれも指導内容に忠実に食事を摂った。

 試験の結果、全血清中の中性脂肪はコントロールのA群に比較して、B、C、D群でいずれも有意に低下した(P<0.05)。

 リポ蛋白の分画においては、カイロミクロン中の中性脂肪がB群(n-3系脂肪酸が豊富)でA群よりも有意に減少していた(P<0.05)。また、large VLDL中の中性脂肪がC群(ポリフェノールが豊富)、D群(ポリフェノールとn-3系脂肪酸が豊富)で、A群よりも有意に減少していた(P<0.05)。

 G.Annuzzi氏は、「ポリフェノールやn-3系脂肪酸を十分に食事で摂取することで、血清中の中性脂肪が減少した。これは主に中性脂肪を多く含むリポ蛋白(カイロミクロン、large VLDL)への影響によると考えられる。すなわち、n-3系脂肪酸はカイロミクロン中の、ポリフェノールはlarge VLDL中の中性脂肪を減少させることが示された。これらを多く含む食事は、心血管疾患のリスクを軽減する可能性があるだろう」と話した。

(日経メディカル別冊編集)