デンマークCopenhagen大学のK.Karstoft氏

 糖尿病患者における歩行訓練は、連続歩行よりもインターバル歩行の方が血糖コントロールエネルギー消費において優れていることが示された。また、インターバル歩行はインスリン抵抗性に対する代償性膵β細胞過形成を起こすことなく血糖コントロールの改善を誘導することが、β細胞の補う能力を反映するディスポジション指数(DI値)の増加によって示唆された。デンマークCopenhagen大学のK.Karstoft氏が、10月1日からベルリンで開催中の欧州糖尿病学会EASD2012)で発表した。

 今回Karstoft氏らは、2型糖尿病患者の自由生活における歩行訓練を行い、実現可能性を評価した。また、血糖コントロールに対するインターバル歩行と連続歩行の効果を比較検討した。

 対象は、インスリンを除く糖尿病治療薬で治療中の2型糖尿病患者とした。対照群(CON群、8例、うち男性5例、57.1歳)、連続歩行訓練群(CWT群、12例、うち男性8例、60.8歳)、インターバル歩行訓練群(IWT群、12例、うち男性7例、57.5歳)の3群に無作為に割り付けた。

 糖尿病診断後期間はCON群が4.5年、CWT群が6.2年、IWT群が3.5年だった。体重は、CON群が88.5kg、CWT群が88.2kg、IWT群が84.9kg。最大酸素摂取量は、CON群が24.8mL/min/kg、CWT群が26.1mL/min/kg、IWT群が27.1mL/min/kg。BMIはCON群が29.7kg/m2、CWT群が29.9kg/m2、IWT群が29.0kg/m2。血糖コントロールを示すHbA1c値や経口ブドウ糖負荷試験2時間値、空腹時血糖値などに有意差はなかった。

 CWT群とIWT群は、加速度計を内蔵したトレーニングコンピュータ(JDMate)によってコントロールされたトレーニングを1回60分、週に5回の頻度で行った。トレーニング中は心拍数モニターによってトレーニングを制御した。インスリンの分泌能とインスリン感受性、ディスポジション指数を高血糖クランプ法(空腹時グルコース濃度は5.4mmol/L)を用いて測定した。介入の4カ月前後の血糖コントロールは、持続的血糖モニタリング(CGM)を用いて観察した。

 試験の結果、トレーニングのアドヒアランスは、CWT群で94%、IWT群で85%だった。トレーニングによるエネルギー総消費量はCWT群で28.1mCal、IWT群で28.9mCalで、IWT群の方がやや多かった。JDMateによるトレーニングの強度は、IWT群でゆっくり歩いた時が53.9%、速く歩いた時が89.4%で、両方ともCWT群の72.7%とは有意差があった(いずれもP<0.05)。心拍数には両群で有意差が見られなかった。

 CGMで48時間測定した血糖値から、各群のベースライン時の血糖値と終了時の血糖値を比較したところ、CON群は平均血糖値と最小血糖値が有意に上昇しており(P<0.05)、IWT群では平均血糖値(P=0.05)と最大血糖値(P<0.01)が低下していた。また、平均血糖値と最大血糖値がCON群に比べIWT群で有意に低かった(いずれもP<0.01)。CWT群も、IWT群ほどではないがCON群と比較すると低値だった。

 β細胞の反応性については、群間で有意差を認めなかったが、高血糖クランプ法において、GLP-1を投与した段階でのインスリン分泌速度は、IWT群が最も高かった。また、アルギニン注射段階における最大C-ペプチド値は、CON群よりもCWT群、CWT群よりもIWT群で高かった。つまりIWT群では、他の群よりもディスポジション指数が増加していることがうかがえた。

 これらの結果からKarstoft氏は、「血糖コントロールとエネルギー消費において、インターバル歩行訓練は連続歩行訓練よりも優れていた。また、インターバル歩行はインスリン抵抗性に対する代償性膵β細胞過形成を起こすことなく血糖コントロールの改善を誘導したことが、ディスポジション指数の増加により示唆された」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)