オランダTilburg UniversityのM. van der Heijden氏

 糖尿病管理にあっては、食事療法とともに運動療法も欠かせない。しかし、2型糖尿病患者の60〜70%は十分に運動を行っていないという報告もあり、如何にして運動療法に取り組む意欲を支えていくかが問われている。オランダTilburg UniversityのM. van der Heijden氏らは、この運動意欲を把握するツールである「運動自己効力感スケール」を評価し、臨床上、有用であることを明らかにした。9月12日から16日までリスボンで開催された欧州糖尿病学会(EASD2011)で発表した。

 運動の自己効力感は、患者自身が身体活動量を維持または向上できると信じる度合いで表されるという。Heijden氏らは、2型糖尿病患者の自己効力感を把握するために、運動自己効力感スケール(Exercise Self-efficacy Scale;ESS)を応用し、またESSの簡易型スケールを開発し、それぞれの有用性を評価する検討を行った。

 対象は、BMIが25以上、年齢が80歳以下の2型糖尿病患者322人。被験者には、ESSと同時にSQUASH(健康増進運動の評価簡易質問表)にも回答してもらった。ESSは、18の質問項目で構成される。質問では、運動を行うことの妨げとなりうる障壁を提示し、障壁を乗り越える自信の度合いを回答してもらう形となっている。例えば(1)疲れている、(2)天候が悪い、(3)家族や友人の助けがない、(4)他にやることがある、などといった項目に回答してもらう。回答結果は、各項目100点満点で、高スコアほど自己効力感が高いことを示す。なお、ESSの総スコアは、各項目の平均値として算出される。

 ESSの構成上の妥当性については、主因子分析、信頼性係数(クロンバックα係数)、各項目と全項目の相関などで評価した。一方、併存的妥当性は、SQUASHの結果との比較によって評価した。

 その結果、対象者のうち255人が試験を完了した。ESSの平均値は42(標準偏差値:19)で、最低の0から最高94まで幅があった。構成上の妥当性は概ね高い評価で、特に信頼性係数は0.95と高水準だった。

 運動が穏やかな群と活発な群を比較した結果、ESSと合計運動量との相関は0.17(p=0.008)、運動する余暇時間との相関は0.23(p<0.001)と有意であった。また、ESSの結果は、年齢、性別、職業、既婚か未婚などに関係は見られなかった。

 次に、Heijden氏らは臨床でのESSの普及を意図して、ESSの18項目から(1)個人的な問題を抱えている、(2)不安がある、(3)家族が問題を抱えている、などの5項目を抽出した簡易型ESSを開発した。こちらも同様に評価した結果、信頼性係数(クロンバックα係数)が0.92と高水準であったほか、18項目の全ESSと強い相関があることも分かった。

 これらの結果から演者らは、「本研究は初めて2型糖尿病患者においてESSの有効性を示した」と結論。その上で、「ESSとその簡易版は2型糖尿病患者の運動に関する介入研究に役立つと思われる」と結んだ。

(日経メディカル別冊編集)