米Metabolon社のWalt Gall氏

 空腹時血清中の新たなインスリン感受性マーカー検査で、インスリン抵抗性ハイリスク群の特定と、耐糖能障害2型糖尿病の長期発症リスクが高い精度で予測できることが示された。これは、米Metabolon社のWalt Gall氏らが、約1300人と約2600人の2つのコホート試験で明らかにしたもの。成果は、9月12日から16日までリスボンで開催された欧州糖尿病学会(EASD2011)で発表した。

 同研究グループはこれまでに、399人の健康で糖尿病のない被験者について行った前向き観察研究の結果、インスリン抵抗性を特定するためのバイオマーカーとして、α‐ヒドロキシ酪酸(AHB)とリノレオイルグリセロホスホコリン(L-GPC)を検出している。

 今回の試験では、この新たなバイオマーカーを用いて、健康な1277人を元に、インスリン抵抗性を検出するアルゴリズム・モデルを作成し、インスリン抵抗性と耐糖能障害発症との関連を分析した。また、全く別のコホートについても追跡試験を行い、2型糖尿病の発症リスクとの関連を分析した。

 今回作成したアルゴリズム・モデルでは、血清サンプルのAHBとL-GPCなどの検査で、インスリン抵抗性の最も高い4分位範囲と3分位範囲を高精度で予測することができた(それぞれAUC=0.86、0.85)。また、被験者を3年間の追跡し、もともと耐糖能正常(NGT)だった880人の耐糖能障害(IGT)の発症についても、グルコースクランプ法と同等の精度で予測することができた(AUC=0.70)。

 続いて、全く別の2型糖尿病の家族歴のある被験者2585人を5年間追跡し、同モデルにより検出されたインスリン抵抗性と2型糖尿病の進行についての関連を調べた。5年間追跡の結果、2型糖尿病発症について、AHB 値とL-GPC値は、性別や年齢、糖尿病家族歴、体格指数、空腹時血糖とはそれぞれ独立した予測因子であることが分かった。具体的には、測定値の1標準偏差増大による2型糖尿病発症に関するオッズ比は、AHB値は1.28、L-GPC値は0.66だった。

 AHB値やL-GPC値に、空腹時血糖値や年齢、性別を盛り込んだ後の予測モデルでは、5年間の2型糖尿病の発症について、高い精度で予測することができた(AUC=0.84)。

 質疑応答で会場からは、「今回の試験結果では、この新しい検査によって、既存の検査に比べ予測能がどれだけ増えるのかを示していない。また、この試験結果の重要性は、ハイリスク群を早期に特定することで、ライフスタイルなどを改善し、結果としてアウトカムを改善することができるという大前提の上に成り立つが、その点を証明した試験結果はあるのか」と厳しい指摘があった。Gall氏は後者の質問に回答し「その点については、来年試験を始める計画だ」と語った。

(日経メディカル別冊編集)