英MRC Epidemiology UnitのUlf Ekelund氏

 運動量が増えるに従って、肥満の有無や程度にかかわらず、2型糖尿病リスクは減少することが示された。これは、英MRC Epidemiology UnitのUlf Ekelund氏らが、1万6000人超について12年追跡し明らかにしたもので、9月12日から16日までリスボンで開催された欧州糖尿病学会(EASD2011)で発表した。

 これまでに、運動量と2型糖尿病リスクとの関連を示した試験結果はあるが、被験者数が不十分で、BMIや胴囲などといった肥満について、併せて分析を行った試験は珍しいという。

 同研究グループは、欧州で行われている約50万人を対象にしたコホート試験、Europian Prospective Investigation into Cancer (EPIC)の中から、無作為に1万6154人を抽出し、ケース・コホート試験を行った。追跡期間は平均12.3年(19万2876人・年)だった。運動量については、仕事と余暇の運動レベルについて、それぞれ被験者の自己申告を元に、4つのグループに分類した。肥満の程度については、BMIまたは胴囲(男性では94cm超が肥満、女性は80cm超が肥満)を使った。

 糖尿病発症リスクと運動量の関連について、Cox回帰分析を行った。年齢、喫煙の有無、教育レベル、アルコール摂取、試験実施センターについては、補正を行った。

 追跡期間中、男性の6.3%、女性の3.9%が、2型糖尿病を発症した。回帰分析の結果、2型糖尿病発症リスクは運動量が多いほど低く、4段階の運動レベルが1段階上がることによるハザード比は、肥満についてBMIを用いた場合、0.87(95%信頼区間:0.80‐0.94)だった。女性については男性ほど顕著ではないものの、同様の傾向が認められ、同ハザード比は0.93(同:0.89‐0.98)だった。

 運動量とBMIを合わせて比較したところ、体格指数25未満の非肥満群では、運動量の最低群は最高群に比べ、2型糖尿病発症のハザード比は1.81、同指数25〜30群の同ハザード比は1.36、同指数30超群の同ハザード比は1.38と、いずれのBMI群でも、運動量が減るにつれて発症リスクは増大する傾向が認められた(傾向に関するp<0.003)。女性についても同様な傾向が認められ、同ハザード比は体格指数25未満群で1.50、同指数25〜30群で1.41、同指数30超群で1.20だった(傾向に関するp<0.003)。

 肥満について胴囲で分けて見ても、運動量最低群の最高群に対する2型糖尿病発症に関するハザード比は、男性の94cm未満の群で1.44、94cm以上群で1.38、女性の80cm未満の群で1.22、80cm以上群で1.08だった。

 Ekelund氏は、「肥満の程度にかかわらず、2型糖尿病予防対策としては、体重減少だけでなく運動量の増加も重要だ」と結んだ。

(日経メディカル別冊編集)