Instituto CoubertinのM.E. Martínez氏

 1年間で肥満の割合は最大で4分の1に激減し、体重過多の子どもの割合も最大で5分の2以下まで減少した――。これは、メキシコオアハカで2005年から取り組まれてきた小児・青少年に対する糖尿病・肥満予防のための教育モデルの成果で、同国Instituto CoubertinのM.E. Martínez氏らが9月12日から16日までリスボンで開催された欧州糖尿病学会(EASD2011)で発表した。

 悪い食習慣、運動不足、座ることの多い生活様式などが小児や青少年の体重過多や肥満をもたらしており、それが成人に達した時に糖尿病リスク因子となる。このため2004年には、WHOのジュネーブ宣言で、糖尿病と肥満の予防のため、学校環境で働きかけを行うことが提案された。これを受けメキシコのオアハカでは、2005年8月にCoubertin教育モデルが開始された。このモデル教育モデルは、学科、スポーツ、栄養、心理学の指導を統合し、肥満、糖尿病および関連疾患を予防する、一生涯続く習慣(バランスのとれた食事、運動と健康的な生活様式)を身につける試みだった。

 2005年から2010年までに、計675人(454人が小学生、221人が中学生)の生徒に対して教育モデルが実施された。各年度ごとの参加者は、2005〜2006年度が70人、2006〜2007年度が195人、2007〜2008年度が131人、2008〜2009年度が122人、2009〜2010年度が157人だった。

 教育モデルの成果を評価するため、各学年度の初めと終わりに、医学検査ならびに体力検査を実施した。学校の時間割にそって、生徒は毎日スポーツに参加し、評価を受けた。生徒はまた、医療、栄養、スポーツについて支援を受けた。学校の食堂では、生徒に出される食物の内容について厳格に管理した。

 肥満と体重過多の生徒の割合を、教育モデルを受ける前と受けた後で比較したところ、以下のような結果となった。2005〜2006年は、肥満の割合が18.5%から7.1%に減少し、体重過多は20.0%から14.2%に低下した。2006〜2007年では、肥満が14.2%から5.7%に、体重過多が18.6%から7.2%に減少した。2007〜2008年度では、肥満は16.6%から6.2%に、体重過多は27.0%から16.6%に減少した。2008〜2009年度では、肥満は13.2%から4.5%と3分の1に、体重過多は14.2%から7.6%へとほぼ半減した。試験の最終年である2009〜2010年度では、肥満は10%程度から2.5%まで減少した。体重過多は12%から5%となった。

 食事や運動、生活習慣にも変化が見られた。例えば、2005年の学年初めには砂糖摂取過多が生徒の70%、脂肪摂取過多が58.57%だった一方で、毎日の食事で野菜を十分に摂っていた生徒は24.28%にすぎなかった。また、80%の生徒が炭酸飲料を主要な水分源としていた。生徒の約3分の2(62.85%)は1日に3時間以上テレビを見て、週に3回以上定期的に運動を行っていたのは、3分の1(31.42%)の生徒のみだった。

 これが2010年には、劇的な変化がみられた。食事で砂糖の取り過ぎを続けていたのは9.2%と激減。また、脂肪の摂り過ぎを続けていた生徒も14%に減少した。今では全生徒が献立に野菜を取り入れ、誰も炭酸飲料を飲まなくなった。TVの前で3時間以上過ごす生徒は、5分の1(19.14%)で、全生徒が週に3回以上運動をするようになった。2006年以降の受講生徒たちにも、同様の改善効果がみられた。この変化は、「一生涯続く習慣を身につける」という目標が達成された証といえそうだ。

 Martínez氏は、「Coubertin教育モデルにより、生徒の肥満と体重過多を低下させる良い食習慣、定期的な運動、および健康的な生活様式が確立されたことが明らかになった」とし、「本モデルが糖尿病リスク軽減に効果的な方法であることを証明した」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)