アルゼンチンのArgentinian Association of DiabetesのS.A.Milrad氏

 2型糖尿病患者認知機能障害認知症のリスクが高いとされるが、HbA1cと認知機能障害との関連などについてはまだ明らかではない。そこで、65歳以上の2型糖尿病患者を対象として、認知機能障害に対する関連因子を調べたところ、HbA1c7%超と認知機能障害との関連が認められるなどの結果が示された。9月12日から16日までリスボンで開催された欧州糖尿病学会(EASD2011)で、アルゼンチンのArgentinian Association of DiabetesのS.A.Milrad氏らが報告した。

 同研究の対象者は2型糖尿病患者427人(女性が55.0%)で、平均年齢は71.83±5.58歳、糖尿病歴は11.78±9.17年。

 患者の治療歴や合併症の有無、教育レベル、収入、身体活動量や喫煙、アルコール摂取などを調査し、HbA1cの測定、認知機能(MMSEによる評価)、うつ(Yessavage depression scale)の評価などを行った。

 HbA1cは平均値が7.15±2.73%、BMIは29.71±5.65Kg/m2。うつは全体の18.5%で認められ、認知機能障害は52.7%にも及んだ。

 カイ二乗検定およびウィルコクソン検定により、HbA1cが7%超と認知機能障害との関連を調べたところ、有意差が認められた(オッズ比:1.56、95%信頼区間:1.05−2.33、p<0.02)。年齢、性別、収入、教育レベル、肥満、身体活動量、うつ、高血圧、喫煙、アルコール摂取、仕事、一人暮らし、脂質異常症で補正後のオッズ比は1.67(95%信頼区間:1.01-2.76、p<0.04)。

 さらに、ステップワイズ法でロジスティック回帰分析を行った結果、認知機能障害の危険因子は、HbA1c(オッズ比:0.52、95%信頼区間:0.28−0.94、p<0.02)、うつ(同:1.80、同:1.03−3.15、p<0.03)、低収入(同:2.37、同:1.26−3.41、p<0.002)、低い教育レベル(同:3.71、同:2.35−5.86、p<0.0001)となった。

 「高齢の糖尿病患者における認知機能障害の割合は53%と高率で、HbA1cが7%超との関連が認められた。今回の研究で注目すべき点は、HbA1c以外にもうつや低所得、低教育レベルなどが認知機能の危険因子として影響を及ぼしている可能性が示唆されたことだ。今後のさらなる研究で、これらを検証する必要があるだろう」とまとめた。
 
(日経メディカル別冊編集)