Profil Institute fuer StoffwechselforschungのTim Heise氏

 1型糖尿病患者を対象に、持効型溶解インスリンアナログ製剤であるインスリングラルギン(IGlar)と比較したランダム化二重盲検クロスオーバー試験の結果、degludec(IDeg)の半減期は約25時間とIGlarの約2倍であること、投与から次の投与までの血中薬物濃度と血糖降下作用がより安定していることが示された。ドイツの医薬品開発業務受託機関(CRO)であるProfil Institute fuer StoffwechselforschungのTim Heise氏が、9月12日から16日までリスボンで開催されている欧州糖尿病学会(EASD2011)で発表した。

 IDegについては、他の基礎インスリンに比べてフラットなプロファイルにより低血糖リスクが低く、その持続作用は40時間を超えることなどがこれまでに示されている。基礎インスリンは、次の投与までの間、血中濃度の変動が少なく、一定の血糖降下作用が持続することが望ましい。演者らは、1型糖尿病患者を対象にした臨床試験を実施し、IDegとIGlarの薬物動態と薬力学的特徴を比較した。

 対象は66人の1型糖尿病患者。属性は、55人が男性、11人が女性、平均年齢36.9歳、BMIは24.9、HbA1cは8.1%、糖尿病歴は17.6年だった。患者はIDegまたはIGlar の3通りの固定用量(0.4U/kg、0.6U/kg、0.8U/kg)に無作為に割り付けた。

 まず、いずれかのインスリンを1日1回8日間投与し、その後7-21日のウォッシュアウト期間をはさんで、もう一方のインスリンを1日1回8日間投与して、投与後7-21日間追跡した。

 それぞれ8日目の投与終了後、42時間のグルコースクランプ検査(血糖値を100mg/dLに維持するために必要なグルコース注入速度を測定)を行って血糖降下作用を評価した。また、薬物動態解析のため、治療期間中と8日目の投与から120時間後まで血中濃度を測定した。

 試験の結果、IDegの用量と血中濃度の間には比例関係が見られた。また、投与から24時間の血中濃度は安定しており、変動はわずかだった。

 IDegの血中濃度-時間曲線下面積(AUC)は、投与から12時間後までのAUC(0-12時間)と、12間後から24時間後までのAUC(12-24時間)がほぼ同一で、定常状態でのAUC(0-12時間)がAUC(0-24時間)に占める割合は、0.4U/kgで53.3%、0.6U/kgでは52.3%、0.8U/kgでは54.0%で、最初の12時間とその後の12時間に血液中に存在していた薬物の量はほぼ同じと考えられた。

 一方、IGlarでは、最初の12時間のAUCがその後の12時間より大きかった。AUC(0-12時間)がAUC(0-24時間)に占める割合は、0.4U/kgで60.5%、0.6U/kgでは59.6%、0.8U/kgでは61.3%だった。

 次に、投与から次の投与までの血中濃度の相対的な変動の大きさを比較した。血中濃度-時間曲線が24時間の平均濃度からずれた時にできる面積をAUC面積で割った相対値(AUCF%)を指標としたところ、IDeg 0.4U/kg群では13.9%、0.6U/kg群13.3%、0.8U/kg群13.8%だったのに対し、IGlarはそれぞれ21.9%、21.1%、24.0%で、IGlar群の変動がより大きかった。

 また、血中半減期は、IDegが25.4時間、IGlarは12.5時間だった。さらに長時間の血中濃度の変化をみたところ、IDegは最後の投与から120時間後にも血清中に検出されたが、IGlarは36-48時間後には多くの患者で定量限界以下になっていた。

 Heise氏らは次に、グルコースクランプ検査によって得られたグルコース注入率(GIR)−時間曲線下面積(AUC GIR)により、薬力学的分析を行った。

 投与から24時間のAUC GIRに占める当初12時間のAUC GIRの割合は、IDeg 0.4U/kgが50.3%、0.6U/kgは50.6%、0.8U/kgが49.2%、IGlarではそれぞれ60.6%、59.2%、57.6%で、IDeg群の方がどの用量においても血糖降下作用の変動が少なかった。

 これらの結果からHeise氏は、「1型糖尿病患者において、IDegはIGlarの約2倍と半減期が長く、24時間にわたって安定した血中インスリン濃度と血糖降下作用を示した」と結論付けた。

(日経メディカル別冊編集)