米国Baylor University Medical CenterのPriscilla A. Hollander氏

 インスリン degludec(以下、degludec)を2型糖尿病患者を対象としたbasal-bolus療法で用いた場合、インスリン グラルギン(以下、グラルギン)を用いた場合と比較して、低血糖発現、特に夜間低血糖発現率が有意に低いことが、約1000例のオープンラベルランダム化treat-to-target試験で明らかになった。また、長期血糖コントロールについては、degludecのグラルギンに対する非劣性が示された。米Baylor University Medical CenterのPriscilla A. Hollander氏が、リスボンで9月12日から16日まで開催されている欧州糖尿病学会(EASD2011)で報告した。

 Hollander氏らは今回、degludecとグラルギンの有効性と安全性を比較すべく、1年間のオープンラベルtreat-to-target試験を実施した。どちらも1日1回投与とし、食前にインスリンアスパルト(IAsp)を用いたほか、必要に応じて経口抗糖尿病薬(OAD)としてメトホルミン、ピオグリタゾンを併用した。

 対象は、診断後6か月以上で3カ月以上にわたってインスリン療法(±OAD)投与を行っており、HbA1cが7〜10%、BMIが40kg/m2以下で18歳以上の2型糖尿病患者992人。Degludec群(744人)とグラルギン群(248人)に3対1で無作為に割り付けた。基礎インスリンは、患者が朝食前に自己測定した血糖値に基づき、朝食時の目標値(70-90mg/dL)を目指して増減するものとした。

 試験の主目的は、試験開始時から終了時(52週)までのHbA1cについて、degludecのグラルギンに対する非劣性を示すこととし、非劣性の限界値は0.4%とされた。本試験では血糖値56mg/mL以下、または処置を要する重症発作を低血糖と定義した。

 試験を完了した患者割合は、両群で同等(degludec群83%、グラルギン群85%)、患者背景も同様だった。

 試験終了時におけるHbA1c値は、試験開始時と比較して、degludec群で1.2%、グラルギン群で1.3%低下しており、差は0.08%(95%信頼区間:−0.05-0.21)で有意差はなく、かつ非劣性の条件を満たしていた。空腹時血糖(FPG)はdegludec群で2.4mmol/L、グラルギン群で2.1mmol/L低下しており、有意差は認められなかった。

 一方、低血糖発現率は11.1対13.6イベント/患者・年とdegludec群で有意に低く、グラルギン群に対するdegludec群の発現率比は0.82(95%信頼区間:0.69-0.99、p=0.0359)とdegludec群で18%少なかった。夜間低血糖(0時1分から5時59分に発生したイベント)は1.4対1.8イベント/患者・年、発現率比0.75(95%信頼区間:0.58-0.99、p=0.0399)と、degludec群で25%有意に少なかった。有害事象発生率は両群で同等だった。

 Hollander氏はこれらの結果から、「2型糖尿病患者では、基礎インスリンとしてdegludecを用いたbasal-bolus療法により、良好な長期血糖コントロールが得られた。また、基礎インスリンとしてグラルギンを用いた場合と比べ、低血糖イベント、特に夜間低血糖イベントの発生リスクは25%有意に低く、degludecが安全で忍容性のある基礎インスリンであることが示された」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)