英・Brimingham大学のA.Nouwen氏

 うつ2型糖尿病患者の重要な合併症であり、特に糖尿病診断後の最初の1年にリスクが高まるとされる。英・Brimingham大学のA.Nouwen氏らは、新規糖尿病患者のうつ症状について検討。糖尿病の治療に伴って生じる、「行動的な生活に制約がある」「人生の重大な目標を達成できない」といった患者の認識が長期的にうつの発症と関連することを明らかにした。その成果を9月12日から16日までリスボンで開催されている欧州糖尿病学会(EASD2011)で発表した。

 2型糖尿病と新たに診断された237人(65%が男性)を対象に、BDI-shortによるうつ症状の診断、Illness intrusiveness(病気による制約感)およびGoal self-efficacy(自己効力感)の評価、BMIとHbA1cの測定などを、3〜4カ月の間隔で計5回行った。

 これらの結果をもとに、Illness intrusivenessおよびGoal self-efficacyを予測因子として一般化推定方程式(GEE)による解析を行い、うつとの関連を調べた(time lag model、autoregressive model、autoregressive change modelの3つのモデルで検討)。

 その結果、18カ月間の試験期間で、明らかにうつと診断された患者の割合は、1回目の測定時が14.8%と最も高く、5回目の測定では8.9%だった。

 GEE解析の結果からは、前回の測定でのGoal self-efficacyが次回の測定におけるうつ症状を有意に予測することが分かった(95%信頼区間:0.96-0.99、p<0.003)。年齢、性別、HbA1c、治療の複雑さ、合併症などで補正後も同様の結果が得られた。

 また、各測定間のIllness intrusivenessの変化は、うつ症状の変化を予測することも分かった(95%信頼区間」:1.09-1.91、p<0.01)。

 Nouwen氏は、「人生の大きな目標を達成できなくなると感じることが、うつの発症につながることが示唆された。2型糖尿病と診断された患者に対し心理面への介入を頻繁に行い、患者に生きがいや可能性をもっと認識させることが重要だろう」と語った。

(日経メディカル別冊編集)