英・Royal Free &University College London Medical SchoolのJ.Betteridge氏

 脂質異常症治療薬を投与している場合はLDLコレステロールLDL-C)の管理目標を従来よりさらに厳しくすることが、アポリポ蛋白BApoB)を適正に保つ上では必要であることが示され、特に糖尿病患者でその傾向が強いことも分かった。近年に報告された27のランダム化二重盲検試験のデータを用いてプール解析を行い、2万1794人の脂質異常症患者のApoBとLDL-Cの関連について調べた結果、明らかになったもの。9月12日から16日までポルトガル・リスボンで開催される欧州糖尿病学会(EASD2011)で、英・Royal Free & University College London Medical SchoolのJ.Betteridge氏らが発表した。

 冠動脈疾患のリスクマーカーとして、ApoBが最近注目されている。従来のLDL-Cでは、小型でかつ比重の高いsmall dense LDL粒子やレムナント粒子などが上昇している患者の動脈硬化リスクを過小評価してしまう可能性があるからだ。このため、ADA/ACC治療ガイドラインにおいては、LDL-Cの管理目標に加え、冠動脈疾患の恐れのあるメタボリック症候群(糖尿病患者を含む)の場合、ApoBの目標値をハイリスクの患者は0.9g/L未満に、超ハイリスクの患者は0.8g/L未満とするよう推奨している。

 今回のプール解析では、患者データを、ベースライン時に治療薬を何も飲んでいない未治療群とスタチンを飲んでいた群に分け、ベースライン時と治療後(エゼチミブとスタチン、またはスタチンのみの治療を4〜24週間実施)について、線形単回帰分析を行い、ApoBとLDL-Cの関連について調べた。解析は、糖尿病患者と非糖尿病患者に分けても同様に実施した。その結果、LDL-CとApoBについては、いずれの群においても高い相関が見られた。

 そこでベースライン時および治療後について、ガイドラインが推奨するApoBの目標値(0.9g/L)を実現するためのLDL-Cの予測値を算出した。未治療群のベースライン時のLDL-C予測値は103.2mg/dLで、ガイドラインのハイリスク群の管理目標値に近かった。しかし、その後エゼチミブ/スタチン、またはスタチンのみの治療実施後には、ApoB(0.9g/L)に対するLDL-C予測値は低下した(エゼチミブ/スタチン治療後のLDL-C予測値は78.4mg/dL)。

 一方、スタチンを飲んでいた群はベースライン時においてLDL-C予測値は87.1mg/dLと低く、その後のエゼチミブ/スタチン、またはスタチンのみの治療実施後にはさらに低い値となった(エゼチミブ/スタチン治療後で78.3mg/dL)。またベースライン時に治療薬を飲んでいるかどうかに関わらず、糖尿病患者では非糖尿病患者に比べて、いずれのLDL-C予測値も低かった(未治療群のスタチン治療後の例で、LDL-C予測値は糖尿病患者では80.2mg/dL、非糖尿病患者では84.0mg/dL)。

 J.Betteridge氏は、「脂質異常症治療薬を飲んでいる患者は、従来のLDL-C管理目標値よりも厳しくすることが、ApoBを正常に保つ上で必要だろう。特に糖尿病患者は非糖尿病患者よりもさらに厳しく管理する必要があるかもしれない」と話している。

(日経メディカル別冊編集)