米テキサス大学健康科学センターのC. Lorenzo氏

 糖の細胞取り込みを増進し内因性糖産生を抑制する糖自身の糖代謝抑制効果(SGglucose effectiveness)もまた、2型糖尿病の危険因子である。耐糖能正常(NGT)から耐糖能異常(IGT)、さらに2型糖尿病(T2D)へと状態が移り行く中で、指標としてのSGがどのように変化するのかを調べたところ、NGTおよびIGTでは、現状のSGレベルを保てないと耐糖能の状態が悪化していくことが明らかになった。米テキサス大学健康科学センターのC. Lorenzo氏(写真)が、9月20日から24日までスウェーデンのストックホルムで開催された第46回欧州糖尿病学会EASD2010)で発表した。

 演者らは、SGの自然経過についてはいまだに不明な点が多いことから、IRAS研究(Insulin Resistance Atherosclerosis Study)の参加者を対象に、SGの特徴について検討した。

 対象は、IRAS参加者のうち血糖降下薬による治療を受けていない人923人。年齢40〜69歳で、サンアントニオやサンルイスバレー、オークランドに住むヒスパニック系、非ヒスパニック系白人、アフリカ系アメリカ人らからなる。登録時に、インスリン感受性(SI)やインスリン分泌能(AIR;ブドウ糖に対する急性インスリン反応)、およびSGについて耐糖能検査により求めた。その後5年間の観察期間中に、同様の指標について同じ方法で測定した。なお、耐糖能異常(IGT)および2型糖尿病は1999年のWHO基準により定義した。

 ベースラインでは、SG値(x10-2/分)はNGT群(505人)で2.07、IGT群(235人)では1.66、2型糖尿病患者群(T2D群)では1.68であり、NGT群が他の2群に対して有意に高いレベルにあった。また、DI値(disposition index、SI×AIRで求める)は、NGT群で100.5、IGT群で28.1、T2D群で5.69であり、耐糖能状態の悪化とともに低下していた(トレンドp<0.001)。

 この際、年齢、性別、人種・民族などで調整した後のSpearmanの順位相関係数検定によると、SGとDIには強い相関が見い出された(r=0.44、p<0.001)。

 フォローアップの期間中、SGは時間の経過とともに減少した。耐糖能の状態別で見たところ、ベースラインでNGTだった群では、SGの減少がフォローアップ期間中の耐糖能状態の悪化と関係していた(トレンドp=0.011)。また、ベースラインでIGTだった群も、統計的に有意でなかったが減少傾向にあった(トレンドp=0.077)。ただし、耐糖能状態の変わらなかったNGT群とIGT群のうち耐糖能の改善が見られた群では、SG減少は認めなかった。

 今回の検討結果をもとにLorenzo氏は、SGの自然経過の一端が明らかになったとし、「SGのレベルを維持できないと耐糖能状態が悪化する結果となる」と結論付けた。

(日経メディカル別冊編集)