英レスター大学の心臓血管科学のT. Yates氏

 減量できなくても、身体活動そのものを高めることで、2時間後血糖値空腹時血糖は改善する可能性があることが示された。PREPAREプログラム研究で明らかになったもので、英レスター大学の心臓血管科学のT. Yates氏(写真)が、9月20日から24日までスウェーデンのストックホルムで開催された第46回欧州糖尿病学会EASD2010)で報告した。

 PREPAREプログラム研究は、糖尿病前症の患者に対し糖尿病についての体系的な教育を行い、万歩計を使って積極的に歩行運動を行うよう勧め、糖尿病の発症予防効果や患者の健康状態の変化などを調べたもの。これまでの検討で、耐糖能異常(IGT)の患者において12カ月後の血糖の調整機能が改善することが確認されている。Yates氏らは、今回の研究でPREPAREプログラムの効果が24カ月後も維持されているかを調べた。

 プログラムの参加者は、2006年10月〜2007年4月にかけて、英レスター大学で募集した体重過多または肥満でIGTがある98人。これらを、アドバイスが記載された小冊子を受け取るだけの群(対照群、34人)、身体活動を高める運動を推奨し3時間の教育プログラムをグループ単位で行う群(E群、31人)、1日の活動目標と万歩計使用による歩行運動を含んだ3時間の教育プログラムを個別に行う群(EP群、33人)にランダムに割り付けた。群間でベースライン時の患者背景や生化学的測定値に差はなかった。

 教育プログラムによる介入を行った2つの群(E群、EP群)には3カ月後と6カ月後にカウンセリングを行い、すべての群で3カ月後、6カ月後、12カ月後にフォローアップを実施した。その上で、今回の調査では、参加者には24カ月後に血糖状態を評価する追加検査を行い、空腹時血糖値と食後2時間血糖値、WHO基準による2型糖尿病への進行の評価、体重などを調べた。ベースラインからの変化に見られる差は、共分散分析(ANCOVA;Analysis of covariance)で分析した。

 結果、74人の参加者(76%、女性38%、南アジア系20%)において、24カ月後のフォローアップデータを得た。

 解析の結果、2時間後血糖値は、EP群のみが有意な減少を維持した。具体的には、ベースラインで8.7±2.3 mmol/Lだったものが、24カ月後は7.3±2.2mmol/Lに減少した。ベースライン値で調整した対照群と比較した変化は、−1.5 mmol/L(95%信頼区間:−2.8〜−0.3、p=0.012)だった。

 空腹時血糖についても、EP群のみで有意な減少傾向が見られた。ベースラインで5.6±0.6mmol/Lだったものが、24カ月後 には5.4±0.7mmol/Lと減少した。ベースライン値で調整した対照群と比較した変化は、−0.3mmol/L(95%信頼区間:−0.7〜0.0、p=0.073)だった。

 追跡期間中に診断された24カ月間の2型糖尿病累積発生率は、対照群で18%、E群で16%、EP群で6%となり、EP群でもっとも少ないという結果だった。一方、いずれの群も、24カ月後の体重に差はなかった。

 Yates氏は、「糖尿病に関する教育と運動の推奨を個別に指導することで、体重が減少しなくても、血糖状態が改善することが分かった。患者指導においては、減量が治療の目標になるのではなく、身体活動の向上が重要になるのではないか」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)