米MedStar Health Research InstituteのV.R. Aroda氏

 2型糖尿病治療に用いられるGLP-1受容体作動薬DPP-4阻害薬の有効性についてメタ解析を行ったところ、GLP-1受容体作動薬にDPP-4阻害薬を上回る効果が期待できることが示された。米MedStar Health Research InstituteのV.R. Aroda氏(写真)らが、9月20日から24日までスウェーデンのストックホルムで開催された第46回欧州糖尿病学会EASD2010)で発表した。

 欧米では日本に先行して、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬による治療数が増え、2型糖尿病治療としての有効性に関する臨床データが蓄積している。演者らは、承認済または治験後期にあるGLP-1受容体作動薬あるいはDPP-4阻害薬の試験データのうち、2009年12月31日以前に論文投稿発表または主要な学会で発表された研究成果から、それぞれの治療法におけるHbA1c、空腹時血糖(FPG)および体重の変化についてデータを集約し、両治療の効果についてメタ解析を行った。

 対象としたのは、Medline、Embase、Biosisおよび2009年の米国糖尿病協会(ADA)と欧州糖尿病学会(EASD)の抄録データベース。臨床試験の探索には、GLP-1R、DPP-4、各薬剤名(エクセナチド、リラグルチド、アログリプチン、サクサグリプチン、シタグリプチン、ビルダグリプチン)などの複数のキーワードを用いた。データベースの探索結果については、複数の審査員が別々に評価を行った。その上で、両治療法について、ランダム効果メタ解析モデルを用いてHbA1c、FPGおよび体重の変化を検証した。

 探索の結果、審査員は計220件の2型糖尿患者を対象とした臨床試験を見い出した。そのうち63件が、評価項目をベースラインからのHbA1cの変量とした12〜52週間の無作為対照臨床試験であった。最終的に、59件の臨床試験についてメタ解析が行われた。

 解析の結果、GLP-1受容体作動薬の最高維持用量による治療の方がDPP-4の最高維持用量による治療よりもHbA1cの降下幅が大きかった。また、エクセナチド(週1回投与)とリラグルチド療法でFPG降下の平均値が最も大きくなり、エクセナチド(1日2回投与)とDPP-4阻害薬治療でFPG降下の平均値は小さかった。さらに平均値で減量(2.0kg以上)が観察されたのは、GLP-1受容体作動薬で、DPP-4阻害薬では観察されなかった。

 これらの結果から演者らは、「インクレチンを利用した療法のすべてで、HbA1cとFPGにおいてベースラインからの有意な改善が認められた。治療法別では、GLP-1受容体作動薬による治療は、HbA1c、FPG、体重の減少が、DPP-4阻害薬治療で達成される減少幅より大きいことも明らかになった」と結論した。さらに「今後は、GLP-1受容体作動薬間で、有効性の相違についての試験が行われていくだろう」と指摘した。

(日経メディカル別冊編集)