米ポートランドEndocrine ClinicのDiane Karl氏

 経口血糖降下薬でコントロール不良な2型糖尿病患者に対してインスリングラルギンを導入することにより、多くの患者でHbA1c値7.0%を達成することが可能であるが、なかには超速効型インスリンなどの併用が必要となる患者も存在する。そうした患者をより早い段階でスクリーニングし、早期から個別治療を実施するための道を模索するEndocrine Clinic(米ポートランド)のDiane Karl氏(写真)らは、7つの無作為化比較試験のデータを統合解析した結果、グラルギン導入から6〜8週後の空腹時血糖値(FPG)が24週後の治療の成否の予測因子となることを明らかにし、9月20日から24日までスウェーデンのストックホルムで開催された第46回欧州糖尿病学会EASD2010)にて報告した。

 Karl氏らが解析に用いた無作為化比較試験(RCT)の条件は、2型糖尿病患者を対象に、グラルギンによる基礎インスリン療法(超速効型インスリンの併用は不可)と他の治療法を比較したRCTのうち、FPG100.8mg/dL以下を治療目標値として段階的に治療を強化する“target-to-treat”プロトコールを採用し、追跡期間は24週以上、ベースライン時と6週または8週、12週の3つの時点におけるFPGのデータを備えた7つの試験である。

 最終的に、これらの要件を満たす7試験、計1036人のデータを解析対象とした。患者の平均年齢は56.3歳、男性比率は56.1%、白人が80.7%、平均罹病期間は8.4年であり、ベースライン時のHbA1c値は8.84%、FPGは199.8mg/dLであった。

 Karl氏らは、これらの患者をベースライン時と6週もしくは8週、12週のFPGによって低FPG群(160.2mg/dL未満)、中FPG群(160.2〜180mg/dL)、高FPG群(180mg/dL以上)の3群に分類し、各群の24週時点でHbA1c値7.0%を達成できた割合を求めた。

 その結果、ベースライン時におけるFPGによって3群に分けた場合では、低FPG群、中FPG群、高FPG群のHbA1c値7.0%達成率は、それぞれ61.4%、66.2%、52.4%となった。ベースライン時のFPGと24週時点のHbA1c値の間には有意な相関が認められた(p<0.0001)が相関は弱く(r=0.169)、ベースラインのFPGをもって、将来の目標値の達成度を判断することは困難と考えられた。

 しかし、6週もしくは8週時点のFPGによって3群に分けた場合、各群における24週時点HbA1c値7.0%の達成率は、それぞれ61.2%、47.7%、26.5%と、3群間の差が拡大した(低FPG群 対 中FGP群;p=0.0175、低FPG群 対 高FPG群;p<0.0001)。6週もしくは8週時点のFPGと24週時点のHbA1c値には、強い相関が認められた(r=0.319、p<0.0001)。

 また、12週時点のFPGによって3群に分けた場合でも同様の傾向が認められたが、24週時点のHbA1c値との相関の強さは6週もしくは8週点と同等であった(r=0.317、p<0.0001)。ただし、12週時点における低FPG群では、高FPG群に比して低血糖の発現頻度が有意に高率であった(33.8% 対 18.0%;p=0.0145)。

 以上の結果を総合すると、グラルギン導入時のFPGで治療の成否を予測することは難しいが、その後6〜12週時点のFPGは将来の治療の成否を知るよい手がかりとなるものと考えられた。Karl氏らは、「インスリン導入後6〜12週時点のFPGが180mg/dL以上であれば、将来の良好な血糖コントロールのために超速効型インスリンの追加投与を考えるなど、テーラーメイドの治療を進めるべきであろう」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)