英レスター大学心臓血管科学のD.R. Webb氏

 血清25(OH)DビタミンD)値が耐糖能障害IGR)から2型糖尿病への進展における独立した予測因子である可能性が示された。英レスター大学心臓血管科学のD.R. Webb氏(写真)が、9月20日から24日までスウェーデンのストックホルムで開催された第46回欧州糖尿病学会EASD2010)で発表した。

 近年、疫学研究において、ビタミンDが欠乏している人では2型糖尿病のリスクが高いことが報告されている。これまで、ビタミンDに血糖を下げる効果があるとした報告や、インスリン感受性を改善して心血管疾患を減らすとした報告があるが、ビタミンDが糖尿病の発症に関与しているかを調べた研究は少ない。

 そこで、Webb氏らは、血清25(OH)D値が、耐糖能障害(IGR)から2型糖尿病への進展における独立した予測因子であるかを調べた。

 Webb氏らは、南アジア系の移民は、ビタミンDの欠乏率と糖尿病の罹患率が特に高いことに着目し、南アジア系が多い混合民族集団を対象にした。年齢が40〜75歳(南アジア系は25〜75歳)の糖尿病ではない人を、南アジア系が多い20カ所の地域から無作為に選び、糖負荷試験で糖代謝異常(IGM)を探索した。

 6749人を調査したところ、そのうち1080人に耐糖能障害(IGR)が見つかった。さらに、血清25(OH)D測定の許可が得られなかった患者とビタミンDのサプリメントを服用していた患者を除いた583人(アジア系204人、ヨーロッパ系379人)を追跡調査した(追跡期間425日、393-462日)。

 その結果、583人のうち39人(6.7%)が2型糖尿病に進行し、225人(38.6%)がIGRの状態で推移し、319人(54.7%)が正常血糖状態へ戻った。

 2型糖尿病へ進行した被験者について検討したところ、IGRの状態が続いた人と正常値へ戻った人に比べて、調整後ベースライン血清25(OH)Dが有意に低いことが分かった(2型糖尿病:50.8±20.7、IGR:60.5±19.6、正常:62.8±18.9、p=0.001)。

 解析の結果、調整後の低い血清25(OH)Dは、12カ月後の2型糖尿病への進行を有意に予測していた(オッズ比:0.98、0.96-0.99、 p=0.001)。また、血清25(OH)Dの最低3分位群は、血清25(OH)Dの高い群と比べて有意に高い進行率であることも認められた(最低3分位から順に進行率は11.1%、5.1%、4.1%だった。それぞれp=0.013)。なお、交絡因子で調整後も、この差は統計的に有意のままであった。

 Webb氏は、「糖尿病の発症・進展にビタミンDが大きく影響している可能性がある。今後は2型糖尿病の発症リスクがある集団において、ビタミンDの補充により血糖が低下するかを調べるというような介入試験を行う必要があるのではないか」と述べ発表を締めくくった。

(日経メディカル別冊編集)