米ロチェスター大学医学部のJohn E Gerich氏

 新たな2型糖尿病治療薬として開発が進められているGLP-1アゴニスト・Lixisenatide(本邦未承認)の初めての第III相臨床試験の結果が報告された。血糖降下療法を受けていない2型糖尿病患者に対する12週間の投与により、HbA1c値、空腹時血糖(FPG)、食後血糖(PPG)はいずれも著明に改善。かつ、有害事象の発現率や体重変動はプラセボと同等であった。この結果は、9月20日から24日までスウェーデンのストックホルムで開催されている第46回欧州糖尿病学会EASD2010)において、米ロチェスター大学医学部のJohn E Gerich氏(写真)らが発表した。

 先に終了した第II相試験では、Lixisenatideは1日1回20μg、13週間の投与によって有意なHbA1c値の低下をもたらし、忍容性も良好であることが明らかにされている。今回明らかにされた第III相試験では、1週間ごとに10μg、15μg、20μgと同剤を漸増した場合(2ステップ漸増群)と、10μg/日を2週間投与した後に20μg/日に増量した場合(1ステップ増量群)の効果と安全性が、プラセボを対照として比較検討された。

 対象は、HbA1c値 7〜10%で未治療の2型糖尿病患者であり、平均年齢53.7歳、平均罹病期間2.5年の患者361人が登録された。これらの患者は(1)Lixisenatide 2ステップ漸増群(n=120)、(2)同1ステップ増量群(n=119)、(3)プラセボ 2ステップ増量群(n=61)、(4)プラセボ1ステップ増量群(n=61)の4群に無作為に割り付けられ、それぞれのレジメンのもと、12週間の治療を受けた。

 その結果、Lixisenatide投与によるHbA1c値は、2ステップ漸増群では7.97%から7.24%へ、1ステップ増量群では8.06%から7.21%へと著明に低下し、プラセボ群(8.07%から7.88%へ低下)との間に有意な差を認めた(両漸増群ともにp<0.0001)。同様に、両Lixisenatide群では、FPGとPPGについても有意な改善を認めた。

 また、治療開始12週後にHbA1c値が7%未満であった患者の割合は、Lixisenatide 2ステップ漸増群では52.2%、同1ステップ増量群では46.5%であった(プラセボ群に対してそれぞれp=0.0001、p=0.0013)。さらに、HbA1c値が6.5%未満の達成率は、Lixisenatide 2ステップ漸増群で31.9%、同1ステップ増量群で25.4%であった(プラセボ群に対してそれぞれp=0.0005、p=0.0095)。

 一方、治療に関連した重篤な有害事象の発現率は、プラセボ群の5件(4.1%)に対して、Lixisenatide群では2ステップ漸増群で1件の発現(0.4%)が認められたのみであった。また、増量の手順を簡略化した1ステップ増量群においても、2ステップ漸増群に比して有害事象が増加することはなかった。なお、体重はLixisenatide群、プラセボ群ともベースライン時より約2kg減少していた。

 以上の結果より、Lixisenatide 20μg/日による単剤療法は、2ステップ漸増、1ステップ増量のいずれの投与法でも安全に導入でき、血糖コントロールの有意な改善をもたらすことが明らかとなった。なお、Lixisenatideについては、このほかにも現在8つの第III相試験が進行中であるということから、その動向が期待されるところである。

(日経メディカル別冊編集)