ドイツのデュッセルドルフ大学ライプニッツ研究所糖尿病センターのJ. Rosenbauer氏

 12年にわたる大規模コホート研究で、小児の1型糖尿病の発症は、秋から冬にかけてが多く、春から夏にかけて少ないことが示された。9月20日から24日までスウェーデンのストックホルムで開催されている第46回欧州糖尿病学会(EASD2010)で、ドイツのデュッセルドルフ大学ライプニッツ研究所糖尿病センターのJ. Rosenbauer氏(写真)らが発表した。

 1型糖尿病発症に季節性があるかどうかについては様々な検討が行われているが、結論は出ていない。Rosenbauer氏らは、1996年から2007年の12年間にドイツのNorth Rhine-Westphalia (NRW)地域の大規模なコホートにおいて、0〜14歳の小児の1型糖尿病の発症における季節性について調査した。

 データは、NRW地域の新たに1型糖尿病と診断された糖尿病の発症登録から得た。調査期間中、7128人の0〜14歳の小児の糖尿病が新たに診断され、そのうち98.8%で完全な調査ができた(男児3678人、女児3371人)。平均的リスク集団は284万人であり、1型糖尿病の発症における季節感のばらつきは、性別や年齢グループ(0〜4歳、5〜9歳、10〜14歳)ごとに調べた。

 12年間の追跡の結果、月の平均発症率が最も少なかったのは7月で10万人当たり16.6人だった。一方、最も多かったのは1月で10万人当たり24.9人だった。全体の傾向としては、9月から3月までが多く、4月から8月までが少なかった。

 統計学的に、発症率が最も低かった6月の終わりから7月にかけてと、発症率が最も高かった12月から1月を比較すると、1型糖尿病発症の季節感のばらつきは著しかった(p<0.001)。

 同様に、男女ともに大きな季節性が観察されたが、男児の方が季節による差が大きかった。

 著しい季節感の差は、0〜4歳(p=0.005)、5〜9歳(p<0.001)、10〜14歳(p<0.001)のいずれの年齢階層でも認めた。しかし、0〜4歳では、そのほかの年齢層に比べて季節性のパターンが異なっていた。

 これらの結果からJ. Rosenbauer氏は、「1型糖尿病の発症の季節性は病因の究明において環境要因が重要であることを示す。このばらつきの原因としては、例えばウイルス性の感染症などの季節の要因が膵臓のβ細胞のストレスとなっていることなどが考えられる。年齢ごとの季節感の発症頻度の違いがなぜ起こるのかについては、さらなる調査が必要だ」と述べた。

(日経メディカル別冊編集)