高血圧を有する2型糖尿病患者にテルミサルタン80mgを投与することで、降圧とともに糖代謝や脂質の改善も期待できるという可能性が示された。9月30日から10月2日にオーストリア・ウイーンで開催された第45回欧州糖尿病学会(EASD)で産業医科大学第一内科の森博子氏が発表した。

 森氏が発表したのは高血圧を合併している2型糖尿病患者に対する2つの試験の結果。テルミサルタン以外のARBを処方されている患者について、ARBをテルミサルタンに切り替えてみるという試験と、テルミサルタン40mgを処方されている患者をテルミサルタン80mgあるいはテルミサルタン40mg+アムロジピン5mgに変更してみるという試験だ。

 1つ目の試験の対象者は高血圧(収縮期≧130mmHgまたは拡張期≧80mmHg)を合併している2型糖尿病患者54人(平均年齢64.6歳)。20人がバルサルタン80mg、24人がカンデサルタン8mg、10人がロサルタン50mgを処方されていたが、いずれもテルミサルタン40mgに切り替え、6カ月目と12カ月目の血液所見などを調べた。

 その結果、テルミサルタンへの変更によって収縮期および拡張期血圧は有意に減少したが、HbA1cと空腹時血糖値は有意な変化はみられなかった。空腹時インスリン値とHOMA-Rについては減少傾向がみられ、ベースラインから12カ月後の変化はインスリンが9.0±6.9μU/mLから8.3±5.9μU/mLへ、HOMA-Rが3.1±2.6から2.8±2.2になった。中性脂肪は143.4±77.4mg/dLから130.5±75.8mg/dLへ、HDLコレステロールは50.8±12.4mg/dLから52.9±13.4mg/dLへ、いずれも有意に改善した(いずれもp<0.05)が、総コレステロールとLDLコレステロールには有意な変化はなかった。また、血中アディポネクチンも有意な変化はなかった。

 2つ目の試験の対象者は、テルミサルタン40mgを処方されているが高血圧(収縮期≧120mmHgまたは拡張期≧70mmHg)を合併している2型糖尿病患者64人。テルミサルタン80mgあるいはテルミサルタン40mg+アムロジピン5mgに32人ずつランダムに割り付け、3カ月後の血液所見などを調べた。

 その結果、テルミサルタン80mg群では、空腹時血糖、空腹時インスリン、HOMA-Rは有意に減少し(p<0.05)、特にHOMA-R≧2.0の患者では変化は顕著だった(p<0.01)。テルミサルタン40mg+アムロジピン5mg群では、これらの値に有意な変化はみられなかった。

 テルミサルタン80mg群においては、総コレステロール≧220 mg/dLの患者で総コレステロールの有意な減少(p<0.01)、中性脂肪≧150mg/dLの患者で中性脂肪の有意な減少(p<0.05)、LDLコレステロール≧120mg/dLでLDLコレステロールの有意な減少がみられた(p<0.05)。一方、やはりテルミサルタン80mg群において、HDLコレステロール≦50 mg/dLでHDLコレステロールの有意な増加(p<0.05)、アディポネクチン≦4.0μg/mLでアディポネクチンの有意な増加がみられた(p<0.05)。

 これらの結果から、テルミサルタン80mg群では、PPARγへの刺激を介しての糖代謝および脂質プロファイルの改善効果が示唆された。