肥満外科手術(bariatoric surgery)は糖尿病の治療および予防に非常に有効なオプションの1つである」。スウェーデンSahlgrenska大学のL.Sjostrom氏は、9月30日から10月2日までオーストリア・ウイーンで開催されている第45回欧州糖尿病学会(EASD)のシンポジウム「bariatric surgery」の中で、スウェーデンにおける肥満外科手術の成績を総括するとともに体重減少の影響などを解析した様々な試験をレビューし、肥満外科手術の位置づけをこう強調した。

 スウェーデンでは肥満外科手術の効果を検証するため、Swedish Obesity Subjects(SOS)という比較試験が行われた。1987年から2001年にかけて25施設から肥満外科手術を受けた患者2010人を登録。対照として同時期に480のプライマリケア施設で手術以外の肥満治療を行う肥満患者2037人がバックグラウンドをマッチングした上で登録され、両者を比較した。

 追跡は07年末までで、追跡期間の中央値は12.8年。なお、手術は複数の手法が行われ、内訳はバンド手術19%、垂直胃形成術(VBG)68%、胃バイパス術19%だった。

 追跡の結果、非手術群の体重減少の平均はほぼ横ばいだったのに対し、手術群では10年後もベースラインから平均10%以上減少していた。10年後の糖尿病発生率を比較すると、非手術群に対する手術群のオッズ比は0.25(95%信頼区間0.17-0.38、p<0.001)。

 ベースラインで糖尿病を罹患していた患者については治癒の状況を比較した。その結果、2年後において非手術群で治癒した患者は21%だったのに対し、手術群では72%で、非手術群に対する手術群のオッズ比は8.42(95%信頼区間5.68-12.5、p<0.001)だった。10年後でも、非手術群13%に対して手術群は36%で、非手術群に対する手術群のオッズ比は3.45(95%信頼区間1.64-7.28、p<0.001)となり、糖尿病に対する肥満外科手術の効果は維持されていた。血糖値への影響は、その時点での体重よりも直近の体重変化の方が大きいということもBMI別の解析で判明している。

 手術群でベースラインにおいて糖尿病だった患者の空腹時血糖は、ベースラインの8.8mmol/Lから、2年後には3.3mmol/L減少した。しかし、血糖値がこれだけ改善しているにもかかわらず、ハードエンドポイントである死亡率、心筋梗塞、癌に対する肥満外科手術の効果は示せなかったことをSjostrom氏は指摘し、今後の課題を示唆した。