英国・Southmead病院のE.A.M.Gale氏

 9月30日から10月2日にオーストリア・ウイーンで開催された第45回欧州糖尿病学会(EASD)では、最近話題の「癌と糖尿病」に関して特別シンポジウムが組まれた。この中で、EASDの学会誌「Diabetologia」の編集長で英国・Southmead病院のEdwin.A.M.Gale氏はEASDのスタンスとして「患者はグラルギン使用を中止する必要はない。(糖尿病と癌の関連について幅広い観点から)さらなる研究が必要である。患者は、糖尿病と癌の関連について検討がなされているということを知る権利がある」と述べた。

 この問題については今年6月、同誌に「インスリングラルギンで治療している患者では、ヒトインスリンで治療している患者よりも癌の頻度が高い」という論文が掲載されたのが発端。同誌には「癌の頻度に差はなかった」という論文も同時に掲載されており、まだ結論を出す段階にはないことが強調されていた。

 今回の特別シンポジウムでGale氏は、「Diabetologia」に掲載されたドイツ、スウェーデン、スコットランド、英国の研究結果をレビューした上で、「エビデンスに基づくインスリンアナログ製剤使用を今後も継続すべきだ」と強調した。

 さらにGale氏は今後解明すべき点として、代謝経路における細胞再生と癌との関連、インスリン抵抗性と癌との関連、糖尿病患者で癌による死亡率が高い理由の解明――を挙げた。その上で「EASDはこれらの解明に関する研究に助力を惜しまない」と呼びかけた。

 実際、EASDが組織する非営利団体、欧州糖尿病財団(EFSD)は、糖尿病と癌に関する研究に、今後最大300万ユーロ(日本円で約4億円)を提供するという。


【訂正】10月6日付けで掲載した記事中、EASDのスタンスとしてGale氏の発言を紹介した「ただ、患者には、こうした考慮すべき点があることを十分に情報提供すべきだ」という部分を、以下の表記に改めました。「患者は、糖尿病と癌の関連について検討がなされているということを知る権利がある」