ヒトグルカゴン様ペプチド-1GLP-1)受容体アゴニストのエクセナチド(本邦未承認)は米食品医薬品局(FDA)などから急性膵炎の発症が指摘されているが、ほかの糖尿病治療薬と比べた場合に頻度が高いわけではない−−。米国の医療保険請求データベース検索から得られた後ろ向き解析の結果を米Amylin PharmaceuticalsのGary.L.Bloomgren氏が中間報告として発表した。発表は9月30日から10月2日にオーストリア・ウイーンで開催された第45回欧州糖尿病学会(EASD)で行われた。

 Bloomgren氏はまず、エクセナチドが膵炎を誘発する生理的なメカニズムは明らかにされていないこと、2型糖尿病患者は一般に急性膵炎のリスクが3倍程度高いことが報告されていることなどを指摘。その上で今回の解析結果を解説した。

 解析には米国医療保険請求のデータベースを使い、2004年9月1日から07年12月31日の間に、エクセナチドの投与を開始した患者(エクセナチド群)、およびエクセナチド以外の糖尿病治療薬の投与を開始した患者(他糖尿病薬群)について、保険請求のクレームをベースに急性膵炎の発症を調べ、両者を比較した。この期間に9カ月以上続けて保険請求があった患者を解析の対象とした。エクセナチド投与のpropensity scoreはロジスティック回帰分析で創出した。

 エクセナチド群においてはエクセナチド使用歴がある患者を対象から除外し、他糖尿病薬群においてはいずれかの糖尿病治療薬の使用歴がある患者を除外。また、両群において急性膵炎および慢性膵炎の既往がある患者も除外した。その結果、最終的に比較の対象となったのは、エクセナチド群が2万5718人、エクセナチド以外の糖尿病治療薬を開始した患者は23万4536人となった。

 これらの患者の急性膵炎の発症数は、エクセナチド群が273件/10万人・年、他糖尿病薬群では228件/10万人・年だった。他糖尿病薬と比較したエクセナチドの急性膵炎発症の相対リスクは1.1(95%信頼区間0.8-1.5)となり、両群の差は確認されなかった。

 急性膵炎発症の時期別に見ると、current use(投与開始から31日目まで)ではエクセナチド群が220件/10万人・年、他糖尿病薬群では227件/10万人・年、recent use(投与開始から32〜62日)ではエクセナチド群が321件/10万人・年、他糖尿病薬群では326件/10万人・年、past use(投与開始から62日超)ではエクセナチド群が355件/10万人・年、他糖尿病薬群では218件/10万人・年だった。エクセナチドの急性膵炎発症の相対リスクは、current useで0.9(95%信頼区間0.6-1.3)、recent useで0.9(95%信頼区間0.4-2.1)、past useで1.4(95%信頼区間0.9-2.3)となり、いずれの時期でも両群の差は確認されなかった。

 保険請求をベースとしているために急性膵炎を把握しきれていない可能性、両群間のサンプル数の差が大きいことなど、Bloomgren氏は今回の解析を解釈する際の留意点を示しつつも、「指摘されているようなエクセナチドと急性膵炎の関連は確認されなかった」と強調した。