2型糖尿病性腎症患者に対してレニン阻害薬アリスキレンを投与すると、腎機能の程度にかかわらず、腎機能保護効果がみられることが確認された。2型糖尿病性腎症を合併する高血圧患者に対するアリスキレンの効果を調べたAVOID(Aliskiren in the eValuation of PrOteinuria In Diabetis)試験において、腎機能別の効果を追加解析した結果で、9月30日から10月2日にオーストリア・ウイーンで開催された第45回欧州糖尿病学会(EASD)でデンマーク・コペンハーゲン大学のHans-Henric Parving氏が報告した。

 AVOID試験の対象としたのは、高血圧と糖尿病性腎症を有する患者599人(18〜65歳)。ロサルタン100mg投与およびそれ以外の至適な降圧治療を12〜14週行った後、アリスキレンを上乗せする群(301人)、プラセボ薬を上乗せする群(298人)に割り付けた。アリスキレン群におけるアリスキレンの投与量は12週まで150mg、以降24週まで300mgとした。

 プライマリーエンドポイントは尿中アルブミン/クレアチニン比 (UACR) の変化とし、セカンダリーエンドポイントはUACRが50%以上減少した患者の比率、eGFRの変化、安全性および忍容性。除外基準は、eGFR<30mL/min/1.73m2(単位は以下mL/min)、血清K>5.1mmol/Lとした。

 ベースラインにおける599人の腎機能はそれぞれ、ステージ1(eGFR≧90mL/min)が115人、ステージ2(60mL/min≦eGFR<90mL/min)が226人、ステージ3(eGFR<60mL/min)が248人で、両群間における差はなかった。

 投与24週後におけるUACRについて、アリスキレン群ではプラセボ群よりも20%減少(p<0.001)。腎機能別に見ると、ステージ1では19%(p=0.202)、ステージ2では22%(p=0.021)、ステージ3では18%(p=0.045)、それぞれプラセボ群より減少した。

 腎機能別にUACRが50%以上減少した患者を見ると、ステージ1ではプラセボ群の16.0%に対しアリスキレン群では29.0%。ステージ2ではプラセボ群の14.4%に対しアリスキレン群では27.7%。ステージ3ではプラセボ群の9.6%に対しアリスキレン群では20.5%と、いずれもアリスキレン群の方が多かった(それぞれ、p=0.132、p=0.012、p=0.019)。

 eGFRの減少はプラセボ群の3.8mL/minに対しアリスキレン群では2.4mL/min(p=0.07)。腎機能別に見ても、両群に有意差は認められなかった。

 安全性のエンドポイントは、高カリウム血症(血清K>5.5mmol/L)、低血圧(各担当医が評価)、腎機能障害(血清クレアチニン>176.8μmol/L[2.0mg/dL])とした。高カリウム血症については、ステージ1および2では両群に有意差はなく、ステージ3において、アリスキレン群22.5%、プラセボ群13.6%、となり、アリスキレン群が高頻度となる傾向がみられた(p=0.070)

 腎機能障害の発生については、ステージ1および2では両群に有意差はなく、ステージ3においては、プラセボ群29.2%、アリスキレン群13.6%となり、プラセボ群が有意に高頻度となった(p=0.032)。低血圧の発生頻度については、ステージ1ではアリスキレン群3.1%、プラセボ群0%、ステージ2では4.8%、0.8%、ステージ3では3.9%、0.8%となり、各ステージで両群に有意差はみられなかった。

 以上の結果から、2型糖尿病性腎症のロサルタンにアリスキレンを上乗せすることで、腎機能保護効果が期待されるが、腎機能が低下している患者では高カリウム血症に対するいっそうの注意が必要であることが示唆された。