新たな糖尿病治療薬であるヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アナログ製剤リラグルチド(本邦未承認)は、同剤の欧米における大規模第3相試験であるLEAD試験で比較対照とした他の糖尿病治療薬と比べ、2型糖尿病患者において体重増加や低血糖を伴わずに、米国糖尿病学会(ADA)が推奨する「HbA1c<7.0%」という治療目標を達成できることが明らかになった。LEAD試験を構成する6つのランダム化比較試験のメタアナリシスの結果で、9月30日から10月2日にオーストリア・ウィーンで開催された第45回欧州糖尿病学会(EASD2009)でカナダ・トロント大学のB.Zinman氏が報告した。

 メタアナリシスの対象としたのは、LEADを構成する6つのランダム化比較試験における26週目のデータで、それぞれの試験デザインは以下の通り。リラグルチド+グリメピリド vs. ロシグリタゾン+グリメピリド(LEAD-1)、リラグルチド+メトホルミン vs. グリメピリド+メトホルミン(LEAD-2)、リラグルチド vs. グリメピリド(LEAD-3)、リラグルチド+メトホルミン+ロシグリタゾン vs. メトホルミン+ロシグリタゾン(LEAD-4)、リラグルチド+メトホルミン+グリメピリド vs. インスリングラルギン+メトホルミン+グリメピリド(LEAD-5)、リラグルチド+メトホルミン+グリメピリド vs. エクセナチド+メトホルミン+グリメピリド(LEAD-6)。

 以前のメタアナリシスによって、リラグルチド1.8mg群とリラグルチド1.2mg群における「HbA1c<7.0%」の達成率は、それぞれ66%と58%で、比較対照とした薬剤およびプラセボ群の達成率(35〜50%)よりも高いことが明らかになっている。今回の解析では、糖尿病治療で問題となる体重増加や低血糖を抑えつつ治療目標を達成できるかを検証するため、「HbA1c<7.0%+体重増加なし+重大および重大ではない低血糖のいずれもなし」という複合エンドポイントを設定して評価した。なお、低血糖は患者に記録してもらい、回復に第三者の助けを要した場合を重大な低血糖、それ以外で血糖値が3.1mmol/L未満の場合を重大でない低血糖とした。

 解析の結果、複合エンドポイントの達成率は、リラグルチド1.8mg群で39%、リラグルチド1.2mg群で35%。LEADの各試験における比較対象では、ロシグリタゾンが6%、グリメピリドが8%、インスリングラルギンが15%、エクセナチドが24%、プラセボが8%だった。

 複合エンドポイントの達成率について、リラグルチド1.8mg群の各比較対象に対するオッズ比(OR)を求めると、それぞれ以下のようになり、すべての比較対象を有意に上回った。対ロシグリタゾン:OR=10.29(95%CI:4.59-23.07、p<0.0001)、対グリメピリド:OR=7.26(95%CI:4.97-10.52、p<0.0001)、対インスリングラルギン:OR=3.69(95%CI:2.12-6.41、p<0.0001)、対エクセナチド:OR=2.02(95%CI:1.28-3.19、p<0.01)、対プラセボ:OR=7.27(95%CI:5.00-10.58、p<0.0001)。

 リラグルチド1.2mg群の達成率については、グリメピリド、ロシグリタゾン、プラセボを有意に上回り、それそれに対するオッズ比は以下のようになった。対ロシグリタゾン:OR=7.54(95%CI:3.36-16.93、p<0.0001)、対グリメピリド:OR=5.32(95%CI:3.63-7.80、p<0.0001)、対プラセボ:OR=5.33(95%CI:3.63-7.83、p<0.0001)。

 「糖尿病治療の3つの目標を複合エンドポイントとして得られたこれらの結果は、今後の糖尿病治療薬選択に示唆を与えるものだ」とZinman氏は今回の結果を締めくくった。