新たな糖尿病治療薬であるヒトグルカゴン様ペプチド-1GLP-1)アナログ製剤リラグルチド(本邦未承認)について、日本の第3相試験の結果が報告された。単剤投与ではSU薬のグリベンクラミドよりも血糖コントロールが優れ、SU薬との併用では用量依存的に血糖コントロールを改善することが示された。9月30日から10月2日までオーストリア・ウィーンで開催されている第45回欧州糖尿病学会(EASD)で関西電力病院院長の清野裕氏が報告した。

 日本人2型糖尿病患者に対するリラグルチドの第3相試験は、リラグルチド単剤治療の評価(以下、単剤試験)とSU薬との併用効果の評価(以下、SU薬併用試験)する2つの試験が行われた。

 単剤試験では、リラグルチド0.9mgとグリベンクラミド2.5mgを比較。リラグルチド群(n=268)はリラグルチド0.9mgとグリベンクラミドのプラセボを投与し、グリベンクラミド群(n=132)はグリベンクラミド2.5mgとリラグルチドのプラセボを投与した。SU薬併用試験は、リラグルチド0.6mg+SU薬、リラグルチド0.9mg+SU薬、SU薬+プラセボの3群に割り付けた(いずれもn=88)。

 両試験ともに、対象としたのは2型糖尿病を有する日本人で、20歳以上、HbA1c値 7.0〜10.0%、BMI<35kg/m2を条件とした。24週まではダブルブラインドで投与し、以降28週はオープンラベルで投与、52週時点の各指標を比較した。

 登録時の患者背景に有意な差はなく、各群における年齢は58.2〜61.2歳。HbA1c値は8.21〜8.92%。BMIは24.4〜25.2kg/m2だった。

 登録時から投与52週におけるHbA1c値の低下は、双方の試験でリラグルチド投与群が有意に大きかった。具体的には、単剤試験におけるHbA1c値の低下はリラグルチド群が1.48±1.12%、グリベンクラミド群が0.95±1.06%。SU薬併用試験では「リラグルチド0.6mg+SU」群が1.09±0.84%、「リラグルチド0.9mg+SU」群が1.30±0.91%、SU群が0.06±1.29%だった。

 日本糖尿病学会が治療目標とする「HbA1c値<6.5%」に到達した患者は双方の試験で、リラグルチド投与群が有意に多かった。単剤試験において「HbA1c値<6.5%」に到達した患者はリラグルチド群で22.0%、グリベンクラミド群で8.4%。SU薬併用試験では「リラグルチド0.6mg+SU」群で14.7%、「リラグルチド0.9mg+SU」群で38.6%、SU群で4.5%だった。

 また、両試験とも、空腹時血糖値および7点測定血糖値の平均血糖値と平均血糖増加量はリラグルチド群が低く、膵β細胞機能については、リラグルチド群の方が有意に大きな改善を示した。

 登録時から52週後における体重変化量は、単剤試験ではリラグルチド群が−0.75kg、グリベンクラミド群が+0.96kg。SU薬併用試験では「リラグルチド0.6mg+SU」群が+0.07kg、「リラグルチド0.9mg+SU」群が−0.03kgで、SU群は−1.07kgだった。

 有害事象については、投与開始後6〜8週においてリラグルチド群の消化器関連症状が多かったが、その後は対照群との差はみられなかった。

 また、投与期間中の重篤な低血糖は両試験ともでみられなかった。重大でない低血糖の発生率は、単剤試験においてリラグルチド群で0.7件/人・年、グリベンクラミド群で3.8件/人・年と、リラグルチド群が少なかった。SU薬併用試験では「リラグルチド0.6mg+SU」群が3.1件/人、「リラグルチド0.9mg+SU」群が3.7件/人、SU群が3.0件/人と、各群であまり変わらなかったが、24週以降ではリラグルチド投与群で低血糖の頻度が低いことが確認された。

 これらの結果から清野氏は、SU薬と比較したリラグルチドの有効性と忍容性が、欧米人と比較して投与量が少ないにもかかわらず、日本人の2型糖尿病患者に対しても確認できたと結論づけた。