共同演者のY. Qiu氏

 大血管疾患MVC)既往の2型糖尿病患者では、MVC既往のない患者に比べて血糖コントロールが悪い傾向にあることが示された。欧州で行われたコホート研究で明らかになったもので、米・Cleveland ClinicのA.Z. Fu氏らが、9月29日から10月2日までオーストリア・ウイーンで開催されている第45回欧州糖尿病学会(EASD 2009)で発表した。

 糖尿病患者において、患者が特定の血糖目標を達成すると死亡率を明らかに低下させることが広く認識されている。また、大血管疾患(MVC)の既往は糖尿病関連の合併症のリスクを増加させることから、適切な血糖コントロールは、このようなリスクの高い患者においては特に重要である。こうした問題意識の下に演者らは、欧州において、MVC既往の2型糖尿病患者における血糖コントロールの程度の実態を把握するため、コホート研究に取り組んだ。

 研究は対応コホート研究で、多施設、観察研究を基にしている。スペインをはじめ、フランスやイギリス、ノルウェー、フィンランド、ドイツおよびポーランドの施設が参加し、2型糖尿病患者のカルテを後ろ向きに再調査した。

 対象は、2型糖尿病と診断された時に30歳以上のMVC既往のある患者で、メトホルミン単剤療法ではコントロール不良で、スルホニル尿素薬(SU)またはチアゾリジン系薬剤(TZD)を追加した患者だった(MVC既往群)。薬剤を追加した時点を指標日として、その後の変化を追った。対照コホートとしては、MVC既往がない2型糖尿病患者を1:1傾向スコア照合を用いて選んだ(対照群)。

 フォローアップ期間中のMVCによる血糖コントロールへの影響を見い出すため、ベースラインの人口統計学的背景、臨床の情報、および併用投薬の使用について調節した後、ロジスティックおよび直線回帰解析を行った。患者一人に見られる複数の観察を修正するためにロバスト分散推定量を用いた。

 解析の結果、MVC既往で試験参加の条件を満たす患者は453人だった。64%は男性で、平均年齢は64.5歳(SD:9.1)、診断されてからの2型糖尿病罹病期間は平均6.2(SD:5.3)年だった。

 適切な血糖コントロール(HbA1c<6.5%)だった患者の割合をみると、MVC既往群は対照群に対して、指標日後1年目までは19.9%対26.5%、1年から2年の間は16.8%対26.5%、2年から3年間は18.8%対28.3%、3年から4年間は10.5%対24.2%だった。MVC既往の患者では、他の潜在的交絡因子を調節した後でも、対照群より適切な血糖コントロールができている人が有意に少なく(オッズ比:0.65、95%信頼区間:0.49-0.86)、HbA1c値が最大0.12%(p=0.049)高かった。

 これらの結果から演者らは、「MVC既往の2型糖尿病患者ではMVC既往のない患者に比べて血糖コントロールが悪い傾向にあることが分かった」と結論した。その上で、「MVCの管理が2型糖尿病患者の適切な血糖コントロールの目標達成を補助する可能性を示唆している」と考察した。