オランダ・VU Medical CenterのK. van den Hurk氏

 2型糖尿病患者において、左心機能低下は特に糖代謝異常の女性に起こりやすいことが報告された。コホート研究であるHoorn Studyで明らかになった。オランダ・VU Medical CenterのK. van den Hurk氏(写真)らが、9月29日から10月2日までオーストリア・ウイーンで開催される第45回欧州糖尿病学会(EASD 2009)で発表した。

 2型糖尿病患者は左心不全のリスクが高くなるが、その発症機序については意見が分かれるところである。Hoorn Studyの横断的データによると、これまでに2型糖尿病患者において左室(LV)重量の増加と左室の収縮期および拡張期機能障害を呈するような左心機能低下の兆候を示していた。今回の解析では、正常糖代謝能(NGM)を持つ人より、糖代謝異常(IGM)あるいは2型糖尿病(T2DM)を持つ人で、より左心機能低下が起こるかどうか、8年にわたり調査した。

 演者らは、Hoorn Studyをベースとした糖尿病コホート研究に取り組んだ。対象は746人で、2000年に断層心エコー検査を受けていた。2008年におけるフォローアップでは、NGMの169人(ベースラインの62%)、 IGMの91人(同52%)、T2DMの121人(同41%)が、それぞれ2回目の断層エコー検査を受けた。ベースラインの平均年齢は66歳だった。

 解析では、左室重量(g)、左房容積(ml、拡張機能)および左室駆出率(%、収縮機能)のベースラインとの差を算出し評価した。ベースラインと比較した差を解析するため、T検定を行った。ベースラインの血糖値の状態でグループ化し、さらに男女を別々にしたグループ間の左心機能低下の差を調べるため、直線回帰解析も行った。血糖値の状態は、糖負荷試験(OGTT、WHO2006年基準)を用いて定めた。

 T検定の結果、左房容積と左室重量はIGMの女性で有意に増加していたが、男性には見られなかった。NGMとT2DMのグループでは、男女とも左房容積と左室重量の著しい変化は見られなかった。

 年齢や体格指数、血圧、空腹時血糖、喫煙、フォローアップの期間、降圧薬および脂質低下薬の使用、心血管疾患の既往、心臓壁運動の異常、心臓アウトカムのベースラインの検査値などで調整後、左室重量の増加は、NGMの女性に比べてIGMの女性において有意に高かった。ただ、左房容積の増加については、調整後では統計的に有意な差を見い出せなかった。なお、すべてのグループで、駆出率は有意に低下したが、変化の差は血糖値の状態で分けたグループ間では認められなかった。

 これらの結果から演者らは、「左心機能低下は、特に糖代謝異常の女性で起こりやすい」と結論付けた。その上で、糖代謝異常や正常な糖代謝であるグループに比べて、男女ともに2型糖尿病グループで左心機能低下があまり見られないのは、「2型糖尿病グループではフォローアップで選択的にそのような患者が脱落した結果か、あるいは積極的なリスク因子管理の結果と思われる」と考察している。