超速効型インスリンアナログ製剤インスリン アスパルトは、速効型ヒトインスリンよりも費用対効果に優れていることが日本人のデータから確認された。9月30日から10月2日にオーストリア・ウィーンで開催されている第45回欧州糖尿病学会(EASD)において、スイス・Ossian Health Economics and CommunicationsのR.F. Pollock氏が発表した。

 これは、日本人2型糖尿病患者をインスリン アスパルトの頻回注射療法群と速効型ヒトインスリンの頻回注射療法群に無作為割付し、心血管系イベントの発症率を5年間にわたり追跡調査した「NICEスタディ」を解析したもの。日本の11医療機関で行われたこのNICE Studyでは、インスリン アスパルト群は、速効型ヒトインスリン群に比べ、心血管系イベントの累積発生率が43%減少したとの結果が既に得られている。

 今回の解析の結果、すべての人が1度も心血管系イベントを発症しなかった場合の平均余命を5年と仮定すると、各群の予想される平均余命は、インスリン アスパルト群4.6881年、速効型ヒトインスリン群4.6835年であった。これを生活の質(QOL)で補正したところ、インスリン アスパルト群3.7874年、速効型ヒトインスリン群3.7530年となり、インスリン アスパルト群が速効型ヒトインスリン群よりもやや優れていた。

 また、心血管系イベントの治療に関わる費用を医療機関のレセプトデータ(株式会社日本医療データセンターによる)を基に計算し、インスリン薬剤費を足した総治療費を算出したところ、インスリン アスパルト群47万753円、速効型ヒトインスリン群57万9974円となり、インスリン アスパルト群の方が5年間で約11万円、費用を低く抑えられることが明らかになった。

 このデータを経年ごとにみたところ、最初の1年はインスリン アスパルト群の治療費が速効型ヒトインスリン群を5834円上回るものの、2年目以降は心血管系イベントの発症とともに心血管系イベントに関連する費用が増大するために、より心血管系イベントの発症率が高かった速効型ヒトインスリン群でインスリン アスパルト群よりも多くの費用がかかることになる、との結果だった。

 Pollock氏は、「NICE Studyにおいて、インスリン アスパルトは速効型ヒトインスリンよりも心血管系イベントの発生率を大きく抑制している。その結果、心血管系疾患の合併症にかかる費用を低く抑えられ、薬剤費を差し引いてもより優れた費用対効果に結びついている」とまとめた。