米国University of PittsburghのSally Wenzel氏

 持続性で好酸球増多を伴う喘息の増悪リスクに対するヒト化抗IL-4受容体αサブユニットモノクローナル抗体製剤「dupilumab」がプラセボに対し、12週の増悪リスクを87%減少させた。米国で行われたdupilumabの第2相臨床試験の主要結果で、5月17日から22日に米国フィラデルフィアで開催された米国胸部学会(ATS)で、米国University of PittsburghのSally Wenzel氏らが報告した。なお、本試験の詳細はNew England Journal of Medicine誌オンライン版に5月21日付けで掲載された。

 喘息の臨床病型の半数近くはTh2細胞の免疫プロセスが関与すると考えられている。Th2サイトカインであるIL-4、IL-13の受容体はIL-4受容体αサブユニットを含んでおり、この分子を標的にしたdupilumabは、IL-4、IL-13受容体を遮断して、その下流にある炎症反応を抑制し、Th2優位の喘息症状を改善すると期待されている。

 本研究では、中等症・重症の持続性喘息で血中好酸球数が300/μL以上(または唾液中に3%以上)、中・高濃度の吸入ステロイドと長時間作用型β2刺激薬(LABA)を服用している患者104例を対象とした。

 使用中のLABAと吸入ステロイド薬(ICS)の使用を継続したまま、dupilumab投与群(52例)あるいはプラセボ投与群(52例)に無作為に割り付け、4週後にLABAを中止、6週目から3週間かけてICSを漸減し、9週目以降は試験薬のみを投与した。追跡期間は12週間とした。

 増悪の定義は、(1)朝のピークフローがベースラインから30%以上低下した日が2日間連続、(2)24時間の発作治療薬の使用回数がベースラインに比べて6回以上増えた日が2日間連続、(3)主治医判定による喘息の悪化(経口ステロイド薬の使用、ICSの使用が4回以上増加、入院)のいずれかとした。

 dupilumab群とプラセボ群で、ベースラインの罹患期間(24.2年対 26.9年)、高用量ICS/LABAの使用頻度(42回 対 41回)、FEV1(2.47L 対 2.54L)、直近2年の増悪回数(両群とも1.4回)、ACQ5スコア(両群とも2.1)には違いはなかったが、血中好酸球数はdupilumab群で有意に高かった(0.55×10-9/L 対 0.47×10-9/L、P=0.04)。

 試験の結果、12週間における喘息増悪率はdupilumab群5.8%、プラセボ群44.2%で、増悪リスクはdupilumab群で87%有意に減少した(P<0.001)。また、カプラン・マイヤー解析では、両群の増悪リスクの差は、LABA中止、ICS漸減・中止に伴って拡大し、プラセボ群に対するdupilumab群の累積増悪率のハザード比は、0.10(95%信頼区間 0.03-0.34, P<0.001)となった。

 また、dupilumab群ではプラセボ群と比較して、FEV1、ACQ5スコア、発作治療薬(albuterol/levalbuterol)の使用回数のいずれも有意に改善しており(それぞれP<0.001、P=0.001、P<0.001)、LABA/ICS併用中の早期から群間差が見られた。また、dupilumab群では、LABA/ICS併用中の4週目から呼気NO濃度、IgE価ともにベースラインに対して顕著に改善し、プラセボ群に対して有意な差が認められた(それぞれP<0.001)。

 有害事象発現率はdupilumab群80.8%、プラセボ群76.9%で、dupilumab群で発現した主な事象は注射部位反応、鼻咽頭炎、上気道感染症、頭痛などだった。

 以上の検討からWanzel氏は、「dupilumabは持続性好酸球増多を伴う喘息患者の増悪リスクをプラセボに対して有意に低下させ、忍容性も良好だった」と結論し、「今後は最適な患者像、実臨床での有効性、長期使用時の有効性・安全性を検討することが課題」と述べた。