米国College of Pharmacy University of New MexicoのMelissa H. Roberts氏

 COPD患者の慢性疼痛保有率と鎮痛薬使用率は他の慢性疾患よりも高く、関節リウマチ(RA)/変形性関節症(OA)と同水準であることが示された。米国の健康保険機構の1つであるマネージドケアの加入者の医療データをレトロスペクティブに検討した結果から明らかになったもので、5月17日から22日に米国フィラデルフィアで開催された米国胸部学会(ATS2013)で、米国College of Pharmacy University of New MexicoのMelissa H. Roberts氏らが報告した。

 これまでにCOPD患者では、一般人口に比べて鎮痛薬の使用頻度や慢性疼痛の保有率が高いことが報告されており、COPDは慢性疼痛のリスク因子であることが示唆されてきた。今回、Roberts氏らは、COPD患者とCOPDではない慢性疾患の患者について、慢性疼痛の保有率と医療施設受診状況を比較検討した。

 Roberts氏らは、2006〜2010年に米国南西部のマネージドケアに登録された40歳超の登録者を対象とし、慢性疼痛の有無、慢性疼痛治療、慢性疼痛のタイプに関する情報をデータベースから抽出した。

 慢性疼痛の定義は、疼痛の発現で鎮痛薬の処方(28日間)を受けたにもかかわらず、6週目以降にも疼痛の発現がある場合とした。ただし、前回から60日を超えてから発現した疼痛は、同一タイプでも新規発症とした。

 データベースからCOPD患者(COPD群)1例に対して、年齢(±2年)、性別、健康保険、受診形態(外来、入院、救命救急)が一致するCOPDではない慢性疾患患者(非COPD群)2例を選んだ。解析対象はCOPD群が7952例、非COPD群が1万5904例となった。

 対象は65歳以上の高齢者が多く、女性が60%近くを、外来患者が90%以上を占めた。COPD以外の慢性疾患の罹患状況は、COPD群では糖尿病、OA/RA、慢性腎臓病(CKD)、虚血性心疾患が多く、非COPD群ではCKD、虚血性心疾患、RA/OA、糖尿病、心不全が多かった。

 解析の結果、慢性疼痛の保有率は、COPD群が59.8%、非COPD群が約51.7%で、COPD群で有意に高かった(P<0.0001)。非COPD群の中では、OA/RA群が70.2%と突出して高かった(P<0.0001)。

 また、COPD群では非COPD群に比べ、短時間作用型オピオイド、長時間作用型オピオイドのいずれについても、継続使用率が有意に高かった(それぞれ、24.2% 対 15.1%、 P<0.0001、4.4% 対 1.9%、P<0.0001)。ただし、非COPD群の中でOA/RA群は、オピオイドの継続使用率がCOPD群と同程度だった。

 以上の検討からRoberts氏は、「COPD患者では、慢性疼痛と短時間作用型および長時間作用型オピオイドの継続使用率が他の慢性疾患に比べて高く、OA/RAと同程度だった」と結論した。

 同氏は最後に、「COPDの全身性疾患、炎症性疾患としての側面や、関節炎・骨粗鬆症リスクの増大、重症COPDにおける慢性胸痛の影響などについて検討する必要がある」と今後の課題を述べた。