フランスUniversity Hospital ReimsのG. Deslee氏

 「肺容積縮小コイル(LVRC)」と呼ばれる新しいデバイスを用いた治療が、肺気腫患者の呼吸機能、運動能、QOL改善に有用性が高く、治療後1年を経過しても良好な経過を示すことが明らかになった。欧州で実施され、試験プロトコールがほぼ同一の3つの多施設臨床試験の結果から示されたもので、5月17日〜22日に米国フィラデルフィアで開催された米国胸部学会議(ATS2013)で、フランスUniversity Hospital ReimsのG. Deslee氏らが報告した。

 LVRCはフランスRePneu社が製品化したニッケル・チタン合金製のデバイスで、気管支内視鏡を用いて気管支に留置すると独特のらせん形状に戻り、その過程で周辺組織を穏やかに引っ張って肺容積を縮小する。

 臨床試験は重症の肺気腫患者109人(平均61歳)を対象とした。主な登録条件は、35歳超で、気管支拡張薬投与後の%1秒量(%FEV1)が45%未満、全肺気量(TLC)が100%超、残気量(RV)が175%超、修正MRC息切れスケールがグレード2〜4、両肺にheterogeneousな気腫病変を認め、禁煙後8週間以上経過していることなどとされた。

 両側肺にLVRC治療を実施後1年間追跡し、6カ月目と12カ月目の呼吸機能の変化を検討した。また、post-hoc解析として、盲検下でCT気腫スコアに基づく解析と視覚的アプローチによる解析を行い、肺気腫が同側葉内でhomogeneousあるいはheterogeneousかを判定した。

 対象患者には218回の治療で2081個のコイルが留置された。1葉当たりの平均留置コイル数は9.5だった。ベースラインの呼吸機能パラメータは、1秒量(FEV1)0.78L、%FEV1 28.94%、RV 5.15L、6分間歩行距離(6MWV)313.19m、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のQOL評価指標であるSGRQスコア60.68ポイントだった。

 LVRC治療後180日目と360日目における呼吸機能パラメータのベースラインに対する変化率は、FEV1が15.4%、15.2%、RVが−10%、−10.3%、6MWTが19.5%、20.9%、SGRQスコアが−17.9%、−19.5%と、いずれもベースラインに比べて有意に改善した。

 治療後0〜30日目の重篤な有害事象として、肺気腫増悪が13件(218治療当たり6%)、血痰が1件(同0.5%)、肺炎が9件(同5%)、気胸が9件(同4%)で発現したが、呼吸不全や死亡は認められなかった。また、31〜180日目には1例が死亡したが、その他の重篤な有害事象の発現傾向は0〜30日目と同様だった。

 post-hoc解析の対象となったのは53例。CT気腫スコアに基づく解析でhomogenousと判定されたのは15例、heterogeneousと判定されたのは38例。視覚的アプローチではそれぞれ24例、29例だった。6カ月後のRV、6MWV、SGRQスコアは、判定法の違いにかかわらず、homogenous群とheterogeneous群で有意な差を認めなかった。

 以上の結果からDeslee氏は、「LVRC治療によって、homogenousあるいはheterogeneousな肺気腫患者のいずれにおいても、呼吸機能、運動能、QOLが改善した。治療後1年目の経過も良好だったことから、LVRC治療は肺気腫に対して有用性の高い治療法といえる」と結論した。